肺炎
はいえん

最終編集日:2023/3/27

概要

肺炎には、細菌、ウイルス、真菌などさまざまな病原微生物が吸気を介して肺に入り込んで感染を起こす感染性のものと、間質性肺炎や薬剤性肺炎などの非感染性のものがあります。感染性のものは、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、非定型肺炎に分けられ、症状や治療法も異なります。


また、感染の場所や形態によって、次のように分類することもあります。

・市中肺炎:通常の生活をする人が市中で感染する

・院内肺炎:入院後48時間経ってから新たに発症した肺炎。免疫抑制下の患者さんに好発し、院内の薬剤耐性菌が原因菌となる場合もある

・医療・介護関連肺炎:医療ケアや介護を受けている人に発症するものを指す。誤嚥性肺炎や終末期肺炎もここに分類される

原因

感染性の肺炎では、細菌(マイコプラズマ、レジオネラなど)、ウイルス(インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、サイトメガロウイルス、ライノウイルスなど)、真菌(ニューモシスチス、アスペルギルス、クリプトコックスなど)などが原因になります。非感染性の肺炎で原因となるのは、自己免疫疾患、薬、粉塵や羽毛、カビなどを慢性的に吸入すること(塵肺、慢性過敏性肺炎などの原因に)などが挙げられます。

症状

原因によって、症状が異なります。

●細菌性肺炎

インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌が原因。38℃以上の高熱、たんがからむせき、黄色や緑色のたん、倦怠感、食欲不振などが現れます。


●ウイルス性肺炎

インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス、サイトメガロウイルスなど、ウイルスが原因になります。40℃近い高熱、倦怠感、激しいせき、たん、胸の痛み、息切れなどが起こります。


●真菌性肺炎(肺真菌症

一般的に免疫機能が低下している人が発症します。発熱、せき、たん、血痰などが現れます。


●非定型肺炎

ある種の細菌(マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ、オウム病クラミジアなど)が原因になります。マイコプラズマ肺炎では、発熱、頭痛、倦怠感、たんがからまないせきが長くつづきます。レジオネラ肺炎では、発熱、食欲不振、頭痛、倦怠感が起こり、筋肉痛や下痢を伴うこともあります。せきは軽度で、多くはたんを伴います。クラミジア肺炎では高熱は出ず、長引くせきが特徴的です。無症状の場合もあります。


●間質性肺炎

肺胞壁に炎症が起こり、線維化(硬く厚くなる)して、ガス交換が十分にできなくなります。息切れ、せきが現れます。


塵肺

粉塵などの微粒子を長い間吸い込みつづけて起こる肺の炎症です。初期には無症状ですが、進行すると息切れ、せき、たん、呼吸困難などが現れます。


誤嚥性肺炎

加齢や脳血管障害の後遺症などで嚥下機能が低下し、食べ物や飲み物が誤って気管に入る「誤嚥」が起こり、細菌が唾液や飲食物とともに気管支や肺に入って肺炎になります。細菌性肺炎のような症状が現れますが、症状を現しにくい高齢者では、食欲不振、動きが鈍い、元気がないなどが症状となる場合もあります。

検査・診断

問診から肺炎が疑われたら、胸部X線検査、血液検査(白血球数、CRPなどの炎症反応)などで肺や呼吸器の様子をみます。同時に原因菌などの特定のために、血液培養や喀痰検査などを行います。

重症度の評価や、敗血症の合併の有無などを、qSOFAスコア、A-DROPシステムなどの基準に従って行います。

治療

重症度評価で軽症の場合は、自宅での加療になります。病原体にあわせた抗菌薬や抗ウイルス薬を服用し、安静・保温・水分補給に努めます。解熱鎮痛薬や鎮咳薬などの症状にあわせた薬も用います。

中等症以上の場合は、入院加療となります。抗菌薬投与や対症療法に加えて、必要に応じて呼吸管理、補液、循環管理など、総合的な治療を行います。とくに高齢者や他疾患で入院中の院内肺炎、医療・介護関連肺炎では重症化しやすいため、注意が必要です。


感染性の肺炎の治療を5日程度行っても改善がみられない場合、非感染性の可能性を考慮して、自己免疫疾患専門医などを受診することもあります。


なお、マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎は飛沫感染の可能性があるため、自宅で療養する際には、患者も介護する側もマスクを着用するようにします。

セルフケア

病後

●再発予防

病原体(おもに細菌、ウイルス)による肺炎は、ほとんどの場合、病原体の問題というよりは、感染を受けた宿主(人)側の免疫機能に問題があります。肺炎を起こした人は、生活面で無理をして免疫力が低下していなかったか、ふり返ってみるとよいでしょう。改善点がありそうな場合は、ぜひ改善を試みてください。また、誤嚥性肺炎の場合は、予防には口腔ケア、すなわち口腔内を清潔にしておくことはひとつの予防策になります。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授

巽浩一郎

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