マイコプラズマ肺炎
まいこぷらずまはいえん

最終編集日:2022/3/15

概要

一般に肺炎は、原因となる微生物の種類によって非細菌性肺炎(細菌が原因でない肺炎)と細菌性肺炎に分けられます。マイコプラズマ肺炎は、ウイルス性肺炎やクラミジア肺炎と同様の非細菌性肺炎の一種です。発症原因はマイコプラズマ・ニューモニアエという微生物です。

子どもや若い人に多い病気ですが、抵抗力の低下した高齢者にもみられます。

以前は、オリンピックの年に流行することがあったため“オリンピック病”と呼ばれることもありましたが、最近はそうした傾向はなく毎年患者さんが発生しています。

感染症法で五類感染症と定められていて、定点医療機関から毎週患者数が報告されます。


原因

マイコプラズマ・ニューモニアエという微生物によってひき起こされます。

潜伏期間は2~3週間で、感染経路はせきやくしゃみなどによる飛沫感染(2019年から流行したCOVID-19 新型コロナ感染症と同様です)および接触感染のため、密になる家庭や学校、職場などで感染しやすく、クラスターを起こしやすい疾患です。


症状

たんの出ない乾いたせき、発熱、全身の倦怠感がおもな症状です。たんを伴わない、コンコンという乾いた感じのせきが長期間つづきます。ほかにも結膜充血や頭痛などが起こることもあります。

熱が下がらず、嘔吐や頭痛などの症状がある場合は髄膜炎を併発している可能性があるため、医療機関での診察が必要です。

患者さんによって(その人の体質に応じて)溶血性貧血、中耳炎、心筋炎、心嚢炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などの合併症をひき起こすこともあります。


検査・診断

胸部X線検査、CT検査などで肺炎状態の有無を診断します。確定診断は、咽頭拭い液や喀痰からマイコプラズマ・ニューモニアエを分離することによって行います。ただし、この検査には1週間程度の時間がかかるため、最近は血液検査により抗原キットを使った迅速診断法が行われています。

治療

抗菌薬を使った治療が行われます。一般の肺炎にはペニシリン系抗菌薬が有効ですが、マイコプラズマ肺炎には効果がありません。そのため、正確な診断が必要になります。

おもな治療薬はマクロライド系抗菌薬ですが、最近この薬に耐性をもったマイコプラズマ肺炎が増えたため、ニューキノロン系・テトラサイクリン系の抗菌薬が使用されるケースも多くみられます。ただし、子どもの患者には副作用や骨の形成への影響が出ることがあり、使用には注意が必要です。

軽症の場合は1週間程度の服用で済みますが、重症の場合は1カ月以上の入院治療が必要になるケースもあります。


セルフケア

予防

ワクチンなど特別な予防策はありません。流行時には手洗いやうがいなど、基本的な感染症対策を行うことが大切です。また、感染者との接触はできるだけ避けましょう。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授

巽浩一郎

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