かぜ症候群
かぜしょうこうぐん

最終編集日:2022/1/11

概要

かぜ症候群は、上気道(鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭部分)に急性の炎症が起こる感染性呼吸器疾患の総称で、「風邪」「感冒」などとも呼ばれます。すべての年齢層で発症し、健康な人が日常的にかかるごく身近な病気です。基本的に特効薬はありませんが、症状をやわらげる対症療法を行い、ゆっくり休むことで回復します。なお、インフルエンザウイルスはかぜ症候群の一種と誤解されがちですが、ウイルスも症状の重さも異なるため、別の病気と考えられています。

原因

かぜ症候群のおもな原因はウイルスや細菌などへの感染です。空気中に浮遊している病原体が気道内に入り、粘膜から侵入し増殖することにより起こります。発症するかどうかは、感染した人の健康状態や環境要因によって決定されます。原因となる病原体の80~90% はウイルスで、残りの約10%は、ウイルス以外の細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどです。ウイルスは、コロナウイルスやRSウイルス、アデノウイスル、ライノウイルスなど、200種類以上といわれており、原因となったウイルスを特定することは困難です。また、同じウイルスでも複数の型があり、さらに年々変異しています。このため、一度感染したウイルスに対する免疫ができても、次々に新しいウイルスが発現するため、かぜ症候群にはくり返し罹患することが多くなります。

症状

かぜ症候群のおもな症状は、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状と、のどの痛みなどの咽頭症状で、発熱頭痛、全身の倦怠感を感じる場合もあります。炎症が下気道(気管、気管支、肺部分)にまで波及すると、せきたんの症状が出現します。これらの症状は、感染から通常1~3日後に現れ、のどの痛みや鼻の不快感から始まって、鼻水やくしゃみに移行します。しかし、かぜ症候群の症状は個人差が大きく、いつも決まった症状とはかぎらないのが特徴です。一般に、治療を始めて7~10日で回復しますが、せきだけ数週間残ることもあります。また、これらの症状はかぜ症候群以外の疾患でもみられることがあり、なかなか回復しない場合はほかの病気の可能性もあります。

検査・診断

問診、視診、触診、聴診などを行って診断することが一般的です。11~3月のインフルエンザ流行期には、抗原検査による鑑別も行います。200種類以上ある病原体の特定は困難ですが、ほかの疾患と鑑別するために血液検査や咽頭培養を行うこともあります。症状が重い場合や、気管支炎や肺炎などの合併症が疑われる場合には、血液検査や胸部X線検査(レントゲン)などの検査を行うこともあります。

治療

一般に、かぜ症候群には特別な治療法はなく、数日間の安静と水分・栄養補給を心がけることで自然治癒します。症状を緩和するための対症療法としては、鼻やのどの症状を改善する薬や解熱鎮痛剤などを用います。抗菌薬(抗生物質)はウイルスには効き目がないため通常は使用されません。ただし3日以上高熱がつづく、または黄色くうみの混じった鼻水やたんが出る、扁桃が腫れるなどの症状がみられる場合は、細菌感染の疑いから抗菌薬を用いた治療が行われることもあります。

セルフケア

予防

かぜ症候群は、空気中のウイルスや感染者の飛沫を吸い込むこと(飛沫感染)、または手についたウイルスが体内に侵入することによって感染します。そのため、予防するには日常生活におけるセルフケアが大切です。病原体となるウイルスと接触しないよう、外出時にはマスクをつけ、帰宅時にはうがいや石けんを使った手洗いを心がけるようにしましょう。さらに、ウイルスは鼻や目や口の粘膜を介して感染するため、なるべく顔を触らないようにし、触るときには前後に手洗いをします。また、かぜ症候群にかかったときは、周囲の人への感染を防ぐために、せきやくしゃみをする際には口や鼻をティッシュやハンカチ、上着の内側や袖で覆うなどの「咳エチケット」を実践しましょう。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科特任教授

巽浩一郎

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