クラミジア肺炎
くらみじあはいえん

最終編集日:2022/3/15

概要

クラミジア肺炎とは、クラミジアに感染することで、せき、扁桃炎、気管支炎、肺炎などをひき起こす病気です。

クラミジアとはウイルス・細菌と同様に、人に感染症をひき起こす細胞内寄生微生物です。ウイルス・細菌にいろいろな種類があるように、クラミジアにもいろいろな種類があります。

おもに成人に肺炎を起こす病原体が「肺炎クラミジア」(Chlamydia pneumoniae)であり、新生児・乳児にほぼ限定されて肺炎を起こす病原体が「クラミジア・トラコマチス」(Chlamydia trachomatis)です。

※「肺炎クラミジア」とは病原体を指す用語で、「クラミジア肺炎」は病原体によってひき起こされる肺炎という病気のことです。


原因

「肺炎クラミジア」または「クラミジア・トラコマチス」という2つのクラミジアのどちらかが病原体となります。

「肺炎クラミジア」は、おもに密になった状況下でせき、くしゃみなどにより飛沫感染します。

「クラミジア・トラコマチス」は、分娩時にクラミジア子宮頸管炎をもつ母親から産道感染し、生後3カ月までの間に肺炎を起こすことが多いと考えられています。


症状

「肺炎クラミジア」が原因病原体の場合、乾いたせきが長引くのが特徴です。また、38℃以下の微熱がつづくほか、喀痰、のどの痛みや鼻水、副鼻腔炎が起こったりします。「肺炎クラミジア」の潜伏期間は3~4週間です。症状はさほどひどくならず、自然治癒することも多い病気です。ただし、で高齢者や基礎疾患をもつ人は重症化する恐れがあります。

「クラミジア・トラコマチス」は、おもに新生児や乳児が感染します。熱が出ることはほとんどありませんが、気管支が炎症を起こして狭くなり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音がするほど呼吸が荒くなります。


検査・診断

胸部X線検査を行い、クラミジア肺炎特有の影がみえるかどうか確認します。また、時間はかかりますが、血液検査で診断することも可能です。

病原体の抗原や遺伝子、または抗体の検出で診断することもあります。


治療

肺炎クラミジアには、テトラサイクリン系やニューキノロン系といった抗菌薬がすぐれた効果を発揮します。軽度の場合、内服抗菌薬が有効ですが、中等度以上の肺炎を起こし、入院が必要な場合はミノサイクリンという医薬品の点滴静注を行います。また、せきや鼻水が激しいときには鎮咳剤、鼻水止めなどの薬剤も同時に使用します。

クラミジア・トラコマチス(幼児・乳児)にはマクロライド系の抗菌薬が投与されます。


セルフケア

予防

予防には、手洗いをこまめに行うことが有効です。乳幼児、高齢者、体力が低下した成人に多くみられるので、規則正しい生活習慣や適度な運動を心がけ、抵抗力をつけるようにしましょう。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授

巽浩一郎

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