クラミジア肺炎くらみじあはいえん
最終編集日:2026/3/13
概要
クラミジア肺炎は、「クラミジア」という微生物に感染して起こる呼吸器の病気です。せき、のどの痛み、気管支炎、そして肺炎などの症状を引き起こします。
クラミジアは細菌の一種ですが、ウイルスのように細胞の中に入り込んで増えるという少し特殊な性質を持っています。大きく分けて次の2つのタイプがあります。
●肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)
おもに大人や学童期の子どもに肺炎を起こします。
●クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)
おもに赤ちゃん(新生児・乳児)に肺炎を起こします。
※「肺炎クラミジア」とは病原体を指す用語で、「クラミジア肺炎」は病原体によって引き起こされる肺炎という病気のことです。
原因
「肺炎クラミジア」または「クラミジア・トラコマチス」への感染が原因となり、大きく分けて2つの感染経路があります。
●飛沫感染(肺炎クラミジア)
感染した人のせきやくしゃみのしぶきを吸い込むことでうつります。学校、職場、家庭内などの「密な環境」で広がりやすいのが特徴です。
●産道感染(クラミジア・トラコマチス)
母親が「クラミジア子宮頸管炎」に感染している場合、出産時に赤ちゃんが産道で感染します。生後3カ月くらいまでの間に発症することが多いです。
症状
原因によって症状が異なります。
●肺炎クラミジア
乾いたせきが長く続くのが最大の特徴です。発熱は38℃以下の微熱で済むことが多いものの、のどの痛みや鼻水、副鼻腔炎を伴うことがあります。また、潜伏期間が3~4週間と長い点も特徴です。
●クラミジア・トラコマチス
発熱はほとんどみられませんが、呼吸が「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と苦しそうになり、せきがひどくなります。
検査・診断
問診のほか、次のような検査を組み合わせて診断します。
・胸部X線(レントゲン)検査:肺に影(肺炎)がないかを確認します。
・血液検査:体内にクラミジアに対する「抗体」ができているかを調べます。結果が出るまで数日~1週間程度かかります。
・抗原・遺伝子検査:のどの粘液などを採取して、病原体そのものがいるかを調べます。最近では、より迅速・正確に判定できる「核酸増幅法(PCR法)」が一般的になっています。
治療
クラミジアは「細菌」の仲間であるため、抗菌薬(抗生物質)がよく効きます。ただし、一般的なかぜ薬や、一部のペニシリン系・セフェム系抗菌薬は効かないため、適切な薬を選ぶことが重要です。
●肺炎クラミジア(大人)
マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系といった抗菌薬を使用します。軽症であれば飲み薬を使用しますが、入院が必要なほど重症の場合は点滴(ミノサイクリンなど)を行います。
●クラミジア・トラコマチス(新生児・乳児)
おもにマクロライド系の抗菌薬が使われます。せきがひどい場合は、同時に「せき止め」や「鼻水止めの薬」を使用することもあります。
セルフケア
予防
こまめな手洗いは感染予防の基本であり、飛沫感染を防ぐうえで効果的です。また、免疫力を維持・高めるためにも、規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。
赤ちゃんへの産道感染を防ぐためには、妊婦健診をきちんと受診し、妊娠中のクラミジア検査を行うこと、そして必要に応じて適切な治療を受けることが不可欠です。
日本では、肺炎クラミジアによる肺炎は、小児から高齢者まで幅広い年齢層で一年を通して発生が報告されており、一般的な市中肺炎のひとつとされています。
流行の現状と特徴として、以下の点が挙げられます。学校などでは集団発生に関連するお知らせに注意し、国内の流行状況は報道などでこまめに確認しましょう。
・集団感染の発生
家族内、幼稚園、小学校など、閉鎖的な空間で濃厚に接触する集団の中で、数週間かけてゆっくりと広がることが知られています。
・流行の兆し
2024年から2025年にかけて、中国や欧米などで、肺炎クラミジアを含む呼吸器感染症の増加が報告されています。日本国内でも、流行の可能性が指摘されることがあります。
監修
千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授
巽浩一郎