不正性器出血(不正出血)

最終編集日:2024/1/19

概要

月経時以外に腟から出血することを不正性器出血(不正出血)といいます。血液そのものを確認できる場合もあれば、ピンク色や茶褐色のおりものとして排出される場合もあります。ただし、便器やトイレットペーパー、下着などに付着した血液やおりものを見ただけでは、それが腟からの出血であると断定できないことも多く、子宮や卵巣、尿道、肛門から出血している場合もあるため、月経時以外に異常なおりものや出血があった際には、医療機関で原因を調べてもらう必要があります。

不正性器出血の原因には次のようなものがあります。


●機能性子宮出血

卵巣の働きが不十分であることが原因で起こる出血です。性ホルモンが未成熟な10代後半から20代前半に多く、からだの成熟とともに解消するケースがほとんどです。ただし40代以降の機能性子宮出血は子宮頸がんや子宮体がんの前兆であることがあり、この場合には医療機関での治療が必要です。


●性交後の出血

初めての性交の後に少量の出血があった場合は、処女膜の損傷による出血である可能性が高く、比較的短時間で出血が止まります。

性交によって大量に出血し、なかなか止まらない場合は、腟壁を損傷している恐れがあります。動脈を損傷している場合には縫合しなければ止血できないこともあり、緊急性を伴います。

性交後に少量の出血をくり返す場合は、腟炎、子宮腟部びらん、頸管ポリープ、子宮頸管炎などの疑いがあります。


●妊娠に関連する出血

性器からの出血に下腹部痛を伴う場合は、流産や早産、子宮外妊娠などの可能性があります。大量に出血したり痛みが激しかったりする場合には、早急に医療機関を受診する必要があります。


●閉経後の出血

閉経後には卵胞ホルモンの分泌が低下するため、腟の自浄作用が衰えて萎縮性腟炎を起こしやすくなります。萎縮性腟炎は老人性腟炎とも呼ばれ、進行すると、おりものに血液が混じるようになります。

また、更年期以降の年代で排尿後に出血がみられる場合には、尿道カルンケルの疑いがあります。これは尿道の出口にできる良性の腫瘍で、比較的容易に治療できます。


●そのほかの原因による出血

白血病や血小板減少症、再生不良性貧血などの血液の病気が原因で性器出血がみられる場合もあります。貧血の症状がある、けがなどによる出血が止まりにくい、などの症状がある場合には血液検査を行う必要があります。


受診の目安

救急車を呼ぶ・ただちに医療機関を受診

・大量に出血している

・下腹部に激しい痛みがある


医療機関を受診

・3日以上出血が止まらない

・性交のたびに出血する

・少量の出血がつづいている

・おりものに血液が混じっている

・妊娠中に出血した

・閉経後に出血した

・排尿後に出血した

・貧血の症状がある

・けがなどによる出血が止まりにくい


様子をみる

・初めての性交で出血した

・少量出血したが短時間で治まった


セルフケア

月経時以外に異常なおりものや出血に注意しましょう。くり返し1年以上にわたって症状が認められる場合は、きちんと検査を行い、原因を明確にしておきましょう。

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監修

小山嵩夫クリニック 院長

小山嵩夫

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