子宮がん
しきゅうがん

最終編集日:2021/12/21

概要

子宮は骨盤のなかにある、筋肉でできた袋状の器官です。腟につながる下部分を子宮頸部、妊娠して胎児を育てる場所となる上部分を子宮体部といいます。

子宮がんとはこの子宮頸部にできる子宮頸がんと、子宮体部にできる子宮体がんの総称です。子宮頸がんは若年層(20~40代)、子宮体がんは閉経後の年代で増加傾向にあります。それぞれにがんが発生する原因、症状、治療法が異なります。

原因

子宮頸がんは腟から子宮に移行する部分にできるがんで、おもな原因はヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。子宮体がんは子宮の上部分に発生するがんで、原因として、エストロゲンの影響により発生するタイプが多いですが、肥満や生活習慣病もリスク因子となります。

症状

子宮頸がんは初期には自覚症状がないことも多く、がん検診でみつかるケースが少なくありません。進行した子宮頸がんの病変部位は出血しやすくなるため、性交時に出血することが多くなります。

子宮体がんでは月経不順、不正出血、おりものの変化などが症状として現れます。

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子宮がん

検査・診断

子宮頸部、体部から検体を採取し、顕微鏡で検査する病理検査を行います。また超音波検査で子宮の状態を確認します。

がん細胞が確認された場合には病変の広がりを評価するため、CT検査、MRI検査などが行われます。

治療

子宮頸がん、子宮体がんともに手術での病変切除が標準治療となります。具体的な方法はがんが生じた場所、がんの広がり具合、年齢、妊娠・出産の希望の有無など、状況に応じて異なります。

場合によっては化学療法、放射線療法、ホルモン療法を組み合わせた治療が行われます。

セルフケア

予防

子宮頸がんはHPVワクチンによって予防できます。日本では小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期接種が行われており、2022年4月から積極的勧奨が再開されました。HPVは性交渉によって感染するため、一度でも性交渉をする前の接種が望ましいですが、性交渉経験後でも年齢次第である程度の効果が見込めますので医師と相談してください。また定期接種の対象ではないですが男児の接種もできます。

予防接種の有無にかかわらず、一度でも性交渉をした後は年に1回くらいの割合で子宮頸がん検診を受けるといいでしょう。

一方、子宮体がんは早期から不正出血を起こすことがあるので、少量でも気になる不正出血があれば、すぐ医療機関を受診するようにしましょう。

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監修

東北大学病院

森 亘平