子宮頸がんしきゅうけいがん
最終編集日:2025/12/18
概要
子宮頸がんは子宮の入口部分に発生するがんです。近年では20~30歳代の若い女性の発症も多く、30代後半から40代がピークとなっています。
国内では年に約1万人の女性が子宮頸がんに罹患し、約3000人が死亡しています。
原因
子宮頸がんのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。このウイルスは性的接触によって子宮頸部に感染します。
性交経験のある女性の約8割に感染機会があるといわれていますが、HPVに感染しても約9割の人は免疫力でウイルスを排除することができます。この免疫システムが十分に機能しなかった場合、ウイルスは子宮頸部に異形成という前がん状態を引き起こします。そこから数年以上かけて細胞の異常化が進み、子宮頸がんを発症します。
症状
早期には自覚症状はほとんどありません。子宮頸がん検診で異常がみつかるケースが多いのが現状です。また、性行為の際の出血、濃い茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものが続く、月経でもないのにおりものに血が混じる、下腹部痛などの症状が現れることもあります。

検査・診断
子宮の入り口付近の頸部の細胞を採取し、細胞診検査を行います。これにより子宮頸がんと診断された場合は、内診、CT検査、MRI検査などの画像検査を行い、子宮周辺組織への浸潤(しみ込むように広がる)の度合い、リンパ節やほかの臓器への転移の有無を調べます。これらの結果から進行ステージが判定されます。
治療
手術療法、放射線療法、化学療法から選択されます。複数の治療法を組みあわせて行うこともあります。病気の進行具合、患者さんの年齢や治療後の妊娠希望の有無、基礎疾患などによって、最適な治療法が選択されます。
セルフケア
予防
子宮頸がんは前癌病変といわれる段階で早期に発見、治療できれば治癒率が高く、子宮の温存も可能である一方、進行すると再発率や死亡率が高くなるがんです。ほとんどの子宮頸がんはHPVワクチンによって予防できます。日本でも思春期の女子には定期接種となっており、自己負担なしで接種できます。HPVは性交渉によって感染するため、一度でも性交渉をする前の接種が望ましいですが、性交渉経験後でも効果がある場合もあるため、医師と相談してください。また定期接種の対象ではありませんが男児も接種できます。
予防接種の有無にかかわらず、一度でも性交渉をしたあとは2年に1度以上の割合で子宮頸がん検診を受けるとよいでしょう。
監修
東北大学病院
森 亘平