食中毒
しょくちゅうどく

最終編集日:2022/4/1

概要

食中毒は、細菌やウイルスなどの有害物質が付着した食品を食べることで胃腸炎などを発症する急性の疾患です。腹痛や下痢、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れます。食中毒をひき起こす原因には、各種の細菌やウイルス、寄生虫、自然毒(キノコやフグなど)、農薬や鉛などの化学物質がありますが、大半は細菌とウイルスによるものです。細菌による食中毒は高温多湿で細菌が育ちやすい夏に多く、ウイルスによる食中毒は冬に流行します。

原因

細菌やウイルス、アニサキスなどの寄生虫、キノコやフグなどに含まれる自然毒、農薬などの化学物質が含まれる食品を食べたり飲んだりすることで発症します。

●食中毒を起こす可能性のある食べ物

・サルモネラ菌(卵とその加工品、加熱不十分な肉、ウナギなど)

・カンピロバクター(加熱不十分な肉、トリ刺しなどの生肉料理、水、生野菜など)

・ウエルシュ菌(肉や魚を加熱調理したあとに室温で保存されたもの。つくり置きのカレーや煮込み料理など)

・ノロウイルス(加熱が不十分なカキやアサリなどの二枚貝、水など)

・アニサキス(アニサキスが寄生しているアジやサバ、イカの刺身など)


症状

原因となった食品を体内に取りこんで数時間~1週間ほどの潜伏期間を経て腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、発熱などのさまざまな症状が現れます。症状の様相は、原因物質の量やそのときの体調によって異なりますが、通常は数日~2週間ほどつづきます。

長期間の下痢や嘔吐によって体内の水分や電解質が排出されるため、脱水症状をひき起こして重症化する場合もあります。

食肉などに多いカンピロバクターやサルモネラ菌に感染した場合には血便が、生鮮魚介類などに寄生するアニサキスなどによる食中毒では、幼虫が胃壁に刺入し、みぞおちが激しく痛んだり、悪心、嘔吐が起きたり、アニサキスを抗原とするアレルギー反応(じんましんやアナフィラキシーなど)が起きる場合もあります。

カンピロバクターに感染すると、感染から数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺などを起こす「ギラン・バレー症候群」という神経系の病気を発症することがあるので注意が必要です。


検査・診断

問診を行って症状の種類と症状が出る前に食べた物、便の色や硬さなどを確定し、腹部などの触診を行います。つづいて原因を特定するための血液検査や尿検査、便検査を実施します。必要に応じて腹部X線検査(レントゲン)やCT検査などの画像検査を行うこともあります。アニサキス症の場合は、内視鏡で虫体を確認することができます。

治療

食中毒にみられる下痢や嘔吐の症状は、細菌やウイルスを体外へ排出するためのからだの反応であるため、これによって自然治癒に至るケースも多くあります。病院を受診した場合には整腸剤や解熱剤など用いて、症状が治まるのを待つ対症療法で様子をみます。

細菌が原因の食中毒の治療は、原因の細菌に応じた抗菌薬による治療をあわせて行います。脱水症状がある場合には点滴を施します。

アニサキス幼虫による食中毒の治療では、胃内視鏡でアニサキスの幼虫を発見し、鉗子で摘出する方法が一般的です。また、自然毒による食中毒に対しては、血液中に混入した毒素を除去する治療法がとられる場合があります。


セルフケア

予防

食中毒にかからないようにするには、細菌やウイルスに汚染された食品や自然毒を含む食材を口に入れないことが大切です。調理前や食事前には手をよく洗い、調理器具は常に清潔にしておきましょう。

購入した食材は冷蔵庫(おおむね10℃以下)、または冷凍庫(-18℃以下)に収納して温度管理を行い、菌の増殖を防ぎます。

調理の際には中心部まで十分に加熱し、調理後は2時間以内に食べるようにしましょう。食中毒をひき起こす細菌やウイルスの多くは熱に弱いとされています。通常は75℃以上で1分間加熱することで死滅します。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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