ボツリヌス菌食中毒

ぼつりぬすきんしょくちゅうどく

最終編集日:2023/3/28

概要

ボツリヌス毒素を含んだ食事を摂取した後に吐き気や神経障害などを起こす食中毒です。ボツリヌス菌は、乾燥や熱に強い「芽胞(がほう)」を形成する菌で、海、川、湖や土壌に広く存在しています。自然界に存在する毒素のなかではもっとも毒性が強く、ふぐ毒の1000倍以上あるといわれています。国内では1984年に真空パックのからしれんこんによるボツリヌス菌中毒が発生し、大規模な感染被害が出ました。

原因

ボツリヌス菌は酸素のない状態で保存される食品で発生しやすく、瓶や缶詰、容器包装詰め食品などを中心にみられます。国内では、以前は北海道や東北地方の特産である魚の発酵食品・いずしが原因となることが多くありましたが、最近はあまりみられなくなりました。近年増えているのは、真空パックなどの密封食品での発生です。

症状

ボツリヌス毒素を含んだ食品を摂取後、8~36時間程度で腹痛や嘔吐、視力障害(物が二重に見えるなど)、言語障害などの神経症状が現れるのが特徴で、重症の場合は呼吸困難となり、命を落とすこともあります。

検査・診断

患者さんの血液や糞便を採取するほか、ボツリヌス菌食中毒の原因と思われる飲食物の残りや原料、製造場所の調理場などから検体を採取して調べます。

治療

呼吸困難があれば人工呼吸器を装着するなど、症状に応じた対症療法が行われます。ボツリヌス菌食中毒と診断された場合は、できるだけ早く抗毒素を投与します。早期の投与が死亡率の低減に有効です。ワクチンはあるものの、有効性が完全に評価されておらず、有害な副作用も示されてきたため、ほとんど使用されていません。

セルフケア

予防

ボツリヌス菌は土のなかにいるので、とくに野菜などはしっかり洗いましょう。つくりおきの料理を食べるときは、十分に加熱することが大切です。目安として120℃で4分間以上の加熱をすれば、ボツリヌス菌は死滅します。

食品の管理・保存法も重要です。レトルト食品はボツリヌス菌が死滅する高温処理がされていますが、レトルト食品によく似たパッケージの「チルド食品」は、必ず冷蔵庫で保管しなければなりません。しかし「要冷蔵」の表示に気づかずに常温で保存し、温めて食べた際にボツリヌス菌食中毒が発生する事例が報告されています。チルド食品に限らず、食品、調理品の保存は冷蔵なら3℃以下、冷凍は-18℃以下を守りましょう。


また、乳児ボツリヌス症は、乳児がハチミツの中の、ボツリヌス菌の芽胞を摂取し、腸管内で毒素が産生されることにより発症します。そのため、1歳未満の乳児にはハチミツを与えないようにしましょう。乳児ボツリヌス症は便秘で発症し、やがて全身の筋緊張が低下し、突然の呼吸困難で死に至ることもあります。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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