ウイルス性食中毒
ういるすせいしょくちゅうどく

最終編集日:2022/3/29

概要

ウイルス性食中毒とは、食べたり飲んだりした食品がきっかけで胃腸炎を起こす食中毒のうち、ウイルスが原因となっているものを指します。そのほとんどがノロウイルスによるもので、毎年冬季に多く発生します。

感染力が強く、集団感染しやすいという特徴があります。嘔吐物や排泄された便中にあるウイルスからも感染するため、家族などへの二次感染に注意が必要です。


原因

ウイルス性食中毒の多くはノロウイルスによってひき起こされています。その原因となる食品は、カキやアサリなどの二枚貝で、それらを加熱不十分な状態で食べたことで発症したケースが多くみられます。

感染力が強いため、少しのウイルス量でも感染する可能性が高く、カキやアサリを自分が食べていなくても、ノロウイルスをもっている人が調理した料理を食べたり、ノロウイルスをもっている人が運んできた料理を食べたりするだけでも感染することがあります。


症状

ウイルス性食中毒の多くはノロウイルスによるものです。ノロウイルスに感染した場合、初めに現れる症状は激しい吐き気と嘔吐です。その後、腹痛と水分の多い下痢が1日に10回以上みられます。

潜伏期間は24~48時間。症状は2~3日で回復に向かいますが、症状が改善されない場合には、早急に医療機関を受診しましょう。また、症状が改善した後も腸の中にはまだウイルスが残っていて、2~3週間は便と一緒に排泄されるので、二次感染しないよう注意が必要です。


●医療機関受診の目安

・水分の補給ができない場合

・1日に10回以上、嘔吐や下痢がある場合

・激しい下痢などの症状がある場合

・便に血液が混じっている(血便)場合

・腹痛がつづく場合

・呼吸が不安定、意識がもうろうとしている場合

・ぐったりしている場合

・高熱がある場合


検査・診断

問診と触診で身体状態を診察します。周囲で流行していないかどうかや便の形状などを聞き取り診断します。便の検査を行い、便中に含まれているウイルスを検出することで感染したウイルスを特定することも可能ですが、どのウイルスに感染したとしても、基本的にウイルス性食中毒の対処方法は同じなので、特定する必要はありません。それよりも脱水があるかどうかを見極めることのほうが大事です。

診察時には、下痢や嘔吐の回数、量、尿は出ているか、水分はとれているかなどを医師に伝えるようにしましょう。脱水状態を調べるために、血液検査や尿検査を行うこともあります。


治療

現在のところ、ウイルス性胃腸炎に対する特効薬はありません。基本となる治療法は整腸薬や吐き気止め、解熱剤などによる対症療法です。

気をつけなければならないのは、脱水症状を起こす場合があるということです。下痢止めは症状を悪化させることがあるので使用しないことが多いですが、下痢がひどく脱水症状がみられる場合には処方されることがあります。水分が思うようにとれない場合や、摂取する水分以上に嘔吐や下痢によって水分を排出してしまい脱水が進んでしまうような場合には、点滴を行います。


セルフケア

療養中

脱水を起こさないためには、水分(ぬるま湯や常温のスポーツ飲料など)をこまめに摂取することが大切です。嘔吐した直後は口をゆすぐ程度にしてしばらく様子をみます。1~2時間後からゆっくりと水分をとるようにしましょう。最初はティースプーン1杯程度を10~15分おきに飲むようにし、徐々に量を増やしていきます。

予防

ウイルス性食中毒の多くは冬に発生し、ほとんどがノロウイルスによるものとされています。感染力が強いため、感染者からの二次汚染を防止する対策が必要です。


感染予防のポイント

・手洗いの徹底。とくに調理前、トイレ使用後にはしっかり手を洗う

・カキなどの生食は避け、食材中心部が85~90℃の状態で90秒以上加熱する

・調理器具やトイレなどの洗浄・消毒、排泄物や吐しゃ物などの処理をするときにはマスクやゴム手袋を使用し、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒を行う


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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