Question

食中毒は時間が経って出るほど、症状が重い?

生ガキを食べてから2日経ち、一緒に食べた人のほとんどが下痢や足のしびれ、一部には嘔吐するほど体調の悪い人もいます。食中毒の場合、時間が経ってから出てくる症状のほうが重いのでしょうか?

男性/30代

2022/05/18

Answer

食事後に腹痛や下痢、嘔吐などの症状が急に出たとき、疑われるもののひとつが食中毒です。生ガキによる食中毒では、原因として貝毒、腸炎ビブリオなどの細菌、ノロウイルスなどのウイルスが挙げられます。


貝毒は、カキを含む二枚貝が餌としているプランクトンのうち、毒をもつものが貝の体内に蓄積されたもので、プランクトンが増える春から夏に多く発生します。貝毒のうち下痢性貝毒では、食後30分から4時間ほどの短時間に下痢、嘔吐、腹痛といった症状が出ますが、通常は3日以内に回復します。麻痺性貝毒では、食後30分ほどで舌や口唇に軽度の麻痺が現れ、しだいに全身に麻痺が広がり、最終的には呼吸麻痺に陥ることもあるので緊急処置が必要です。ただし、プランクトン量の監視や出荷規制などにより、国内で市販される貝類では、貝毒による食中毒は起きていません。


細菌による食中毒の潜伏期間は12~36時間、おもな症状は腹痛と下痢で、症状は2~3日ほどでおさまり、回復します。


また、冬場のカキによる食中毒の多くはウイルスが原因で、なかでも最も多いのがノロウイルスです。カキに限らず、食中毒の発生件数全体でみても、ノロウイルスを原因とするものが5割以上を占めるといわれます。ノロウイルスは細菌のように食品中では増えず、人の腸管内で増えるため、体内に入ったウイルスが少量でも感染に至ります。ノロウイルスの潜伏期間は12~48時間、おもな症状は嘔吐、下痢、腹痛ですが、軽い熱が出ることもあります。症状の重さは、からだの中に取り込まれたウイルス量や、本人の体調などでも異なりますが、命にかかわることは少なく、健常者がノロウイルスにかかった場合には、症状が1~2日続いたあと、回復に向かいます。なかには感染しても症状があらわれず、知らないうちに治ってしまう場合もあります(不顕性感染)。


上記のどのケースでも、潜伏期間と症状の重さとの間に因果関係はありません。

もし、食中毒の症状が続く場合は、市販薬などで対応せずに受診する必要があります。また、体力のない小児や高齢者、肝臓疾患、がん、糖尿病などの治療をしている人は、重症化するリスクがあるため、食中毒の症状が出たら、まずは脱水を予防するためにしっかり水分をとり、早めの受診をおすすめします。


回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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食中毒
ノロウイルス
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