セレウス菌食中毒
せれうすきんしょくちゅうどく

最終編集日:2024/6/23

概要

セレウス菌という土壌細菌(土壌中、水中などの自然環境や、農産物・畜産物・水産物などに広く生息する菌)によって引き起こされる感染症(食中毒)です。症状の現れ方から、嘔吐型と下痢型に分けられ、わが国では嘔吐型が多くみられます。

食中毒の約1%を占め、それほど頻度は高くありません。6~9月頃に多く発生します。

原因

セレウス菌を経口で体内に入れることで感染します。

1983~1999年にわたる国立感染症研究所の調査では、原因となった食品として、約40%が穀類とその加工品(チャーハン、ピラフ、焼きそば、パスタなど)、約30%を複合調理食品(2種類以上の食材を組み合わせた加工品。コロッケ、ぎょうざ、肉や野菜の炒め物・煮物など)が占めています。

症状

わが国に多い嘔吐型では、潜伏期間の30分~5時間ののち、嘔吐が起こります。そのほか、吐き気、下痢、腹痛を伴います。発熱や倦怠感がみられることもあります。下痢型では、6~15時間ののち、下痢が現れます。

体力が低下した人の場合、まれに急性肝機能障害を起こすことがあります。上記の症状に強い倦怠感、発熱、食欲不振、黄疸(おうだん)などがみられたら、肝機能障害が疑われます。

検査・診断

症状、発症までの経緯、直前あるいは前日に食べた物、食事の状況などを問診して、セレウス菌食中毒が疑われたら、吐しゃ物や糞便、可能な場合は原因と考えられる食材を用いて食中毒細菌検査を行います。肝機能障害の有無をみるために、血液検査を行います。

治療

セレウス菌に対する治療は行われず、水分や栄養の補給、安静などの対症療法が中心となります。一般的に、肝機能障害を起こしていなければ、経過は良好です。

肝機能障害を併発している場合は、安静・食事療法などで回復を図ります。

セルフケア

予防

セレウス菌は生き延びるのに不適な環境になると、芽胞という構造物をつくって休眠状態に入ります。そのため、90℃で約60分の加熱にも耐えるとされていて、通常の加熱調理では死滅しません。また、乾燥環境でも生き続けます。セレウス菌を増殖させない・感染を予防するために、調理・食事の際には次のようなことに注意しましょう。


●1回に食べる量だけ調理する。

●つくったらすぐに食べる……嘔吐型はセレウス菌が食品中に産生した毒素(セレウリド)によって起こります。できる限り1回に必要な量だけつくり、すぐ食べるようにします。調理したあと、6時間以上、常温で放置するとリスクが高くなるとされています。

●保存する時は8℃以下、あるいは55℃以上を保つ……セレウス菌の増殖しやすい温度の28~35℃を避けて保存します。食品を冷凍する際にはできるだけ小分けにして、速やかに低温保存できるようにします。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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