黄色ブドウ球菌食中毒

おうしょくぶどうきゅうきんしょくちゅうどく

最終編集日:2022/3/29

概要

黄色ブドウ球菌が付着している食品を食べることで起きる食中毒です。この菌は人の皮膚やのどなどにいる細菌で、菌そのものというよりも、菌が食品のなかで増殖するときに発生する毒素が、食中毒をひき起こします。

傷口や化膿部分に多く存在し、手に傷がある人が調理したおにぎりや寿司、和洋菓子などから感染します。潜伏期間が短いのが特徴で、食後3時間前後で腹痛や吐き気、嘔吐、下痢などの症状が現れます。


原因

黄色ブドウ球菌食中毒は、調理する人の手や指の傷から黄色ブドウ球菌が食品に付着し、菌が増殖するときに発生するエンテロトキシンという毒素を食品と一緒に体内の取り込むことによって、ひき起こされます。そのため手で直接触って調理するおにぎりや寿司、サンドイッチ、和洋菓子などの食品が原因となるケースが多いとされています。

調理してからの時間が長いほど毒素は増えていきますが、多くの食品は汚染されていても味や匂いに変化がみられないため、ほとんどの人が汚染に気づかずに食べてしまい、急性胃腸炎を起こします。

また、この毒素は熱に強く、一度発生してしまうと100℃で30分間の加熱でも毒素を消すことはできません。さらに黄色ブドウ球菌は塩に強く、比較的高い食塩濃度でも増殖して毒素を発生することができるため、漬物などでも注意が必要です。


症状

潜伏期間が比較的短く、汚染された食品を食べてから3時間前後で腹痛や吐き気、嘔吐、下痢などの症状が現れます。熱が出ることは少なく、出たとしても37℃前後で微熱程度です。激しい吐き気と嘔吐は、黄色ブドウ球菌による食中毒では特徴的な症状とされています。

症状が現れてから数時間で治まることもあるほど短いのも特徴で、長くても24時間以内には改善します。まれに、脱水症状や血圧の低下などの症状が出て、重症化する場合もあります。


検査・診断

問診と触診で身体状態を診察します。症状から胃腸炎であることは診断がつきます。同じものを食べた複数の人に同じような症状がある場合や、食べてから症状が現れるまでの時間の短さなど特徴的な症状がみられれば、黄色ブドウ球菌食中毒が疑われます。

診断を確定するには、原因となっていると思われる食品に黄色ブドウ球菌があることを確認する必要がありますが、原因を特定しても治療方法は変わらないため、この検査は行われないのが一般的です。


治療

発症から早ければ数時間で症状が改善するため、ほとんどの場合で治療の必要はありません。ただし、症状が治まらないときには、胃洗浄を行ったり下剤や激しい吐き気や嘔吐を抑えるために薬を使ったりすることがあります。また、脱水の症状がある場合には点滴を行います。

セルフケア

予防

黄色ブドウ球菌食中毒は、人の手や指にある傷が原因で発症することが多いため、手や指に傷がある場合には、調理しないことがいちばんです。やむを得ず調理しなければならないときは、使い捨てのビニール手袋などを使用して、直接、食品に触れないようにすることが大切です。

食材に黄色ブドウ球菌が付着するのを防ぐためには、手洗いとアルコールによる消毒が効果的です。また、食品を10℃以下に保つと、黄色ブドウ球菌はほとんど増殖しないとされています。調理したものはすぐに食べるか、保存する場合には出しっぱなしにせず冷蔵庫に入れましょう。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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