カンピロバクター食中毒
かんぴろばくたーしょくちゅうどく

最終編集日:2022/3/29

概要

カンピロバクター食中毒は、カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌によってひき起こされる感染症です。生の肉を扱ったり、加熱が不十分な肉を食べたり、菌がついた調理器具や手指を介して汚染された食事をとったりすることで感染するほか、犬や猫などのペットが原因となることもあります。

また患者さんの糞便処理で接触感染するケースもあります。

細菌性食中毒は発生件数が多く、年間300件ほどあり、患者数は2,000人程度です。5~7月が発生のピークですが、冬期にも発生します。

子どもから高齢者まで年齢にかかわらず発症しますが、女性より男性に多い傾向があります。


原因

カンピロバクター属の細菌が原因です。カンピロバクターは、牛や豚、鶏などの腸管に存在しています。とくに鶏の保菌率が高いといわれており、市販の鶏肉が汚染されているケースもあります。ほかの細菌とくらべ、少ない菌量の摂取でも感染することが特徴です。具体的には生の鶏肉(鳥刺し)、生焼けの焼き鳥、生卵、卵製品などの摂取が原因となります。

症状

おもな症状には、下痢、腹痛、発熱、悪心・嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などがあります。血便を呈することもあります。

潜伏期間は1~7日(平均3日)で、ほとんどが1週間ほどで治癒します。ただ乳幼児や高齢者、抵抗力が低下している人などは重症化する危険性もあります。カンピロバクターに感染すると、感染から数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺などを起こす「ギラン・バレー症候群」という神経系の病気を発症することがあるので注意が必要です。また反応性関節炎を発症することもあります。


検査・診断

問診で症状とともに、数日間の食事内容や生活状況、海外渡航歴などを確認します。便を採取してカンピロバクター属細菌が確認できれば診断が確定します。

治療

通常は特別な治療をしなくても1週間ほどで回復します。対症療法として、経口補水液やスポーツドリンクなどを飲み、水分や塩分の補給を行います。脱水の程度によっては点滴を行うこともあります。

症状によっては整腸剤が処方され、高熱、出血を伴った下痢などがある場合にはニューキノロン薬やホスホマイシンなどの抗菌薬を使った治療を行うこともあります。


セルフケア

療養中

市販の下痢止めの薬を服用すると、菌を体外に排出できなくなり症状が長引くケースがあるので注意が必要です。必ず医師に相談してください。

予防

カンピロバクターが含まれている可能性のある肉類を調理するときには、手をよく洗う、調理器具を清潔に保つ、などに気を配ることが大切です。

調理では、菌を死滅させるためにしっかり加熱することが重要です。ペットと接触した後には手洗いや手指消毒を行いましょう。またペットの感染防止のために、ペットの健康・衛生面の管理もしっかり行いましょう。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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