慢性閉塞性肺疾患(COPD)

まんせいへいそくせいはいしっかん

最終編集日:2022/3/17

概要

慢性閉塞性肺疾患は、肺気腫や慢性気管支炎、または両者が併発した閉塞性換気障害などの総称です。Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略で、COPDと呼ばれます。

比較的太い気管支が慢性に炎症を起こす(慢性気管支炎)ことにより、せきたんがつづくことがあります。肺および肺に近い細い気管支に炎症が起こり、その人の体質によって酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞構造が破壊され、肺の機能が低下して、せきや息切れがひどくなる病気です。

進行性の疾患であることが大きな特徴です。喫煙が主な原因で、別名「たばこ病」と呼ばれています。肺だけにとどまらず全身に影響が及ぶ病気であり、全身性炎症、栄養障害、骨格筋機能障害、心血管疾患、骨粗鬆症、抑うつなどの合併症をひき起こすことがあります。

たばこの煙などの有害物質を長期間吸入することで発症するため、長年の喫煙習慣が深く関係し、たばこを吸う人の15%に起こる病気です。

日本では、現在500万人を超える人が閉塞性換気障害を有していることが判明しています。そのなかで生活に支障をきたす症状が出現して、実際に治療を行っている患者さんは20万人ほどだといわれています。


原因

原因の第一は喫煙と考えられ、ほかにも粉じんや大気汚染、幼少期の呼吸器疾患への感染、遺伝などがあります。受動喫煙(周囲の方が喫煙している場合、その副流煙を慢性的に吸う)も発症の原因といわれています。

症状

たばこの煙などの有害物質を吸入することで気管支が炎症を起こし、たんがからんで息がしにくくなります。さらに、肺胞が破壊されると体内に酸素をうまく取り込めない状態になり、歩行や階段の上り下り、ちょっとした作業や運動でも息切れする、慢性的にせきやたんが出る、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューと変な音がするなどの症状が出ます。

進行すると、全身性炎症、栄養障害、骨格筋機能障害、心血管疾患、骨粗鬆症、抑うつなどをひき起こすこともあります。


検査・診断

問診で長期間の喫煙歴があることを確認し、息切れや慢性的なせきやたんが出るなどの症状があるとCOPDが疑われます。

診断にはスパイロメーターという機器を使った呼吸機能検査(スパイロメトリー)を行います。スパイロメーターは思い切り呼吸をしたときの呼吸機能を測定する機器です。

ほかにも肺の状態を知るために胸部X線検査やCT検査などの画像診断も行うことがあります。


治療

COPDによって低下した肺の機能が元に戻ることはありません。そのため、病気の進行を遅らせるために、禁煙と薬による治療が行われます。

いちばん重要な治療が禁煙です。長年喫煙をしてきた人でも禁煙した時点からCOPDの進行を遅らせることができます。

薬による治療では、狭くなった気管支を広げて呼吸を楽にする気管支拡張薬が使われます。気管支拡張薬には吸入薬、貼り薬、内服薬などのタイプがあります。

同時に、薬を使わない呼吸リハビリテーション、例えば口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練、運動療法、栄養療法なども行います。

重症者には在宅酸素療法が行われ、さらに呼吸不全が進行した場合には、小型の人工呼吸器と酸素を補充するマスクを用いて呼吸を助ける換気補助療法が行われます。

COPDは喫煙による病気のため、軽症でも肺がん、咽頭がん、膀胱がんなどのがんの発症が多いことが知られています。早期発見できれば外科手術が可能なケースもあります。


セルフケア

療養中

まずは禁煙をしてください。近年では禁煙外来が多くの医療機関に設置されています。1人で禁煙するのがむずかしい場合は、医師、看護師の力を借りて禁煙を始めましょう。

COPDを発症すると、運動時・安静時のエネルギー消費量が多くなります。また、活動量が低下するため、食欲不振から栄養不良や体重減少が起こります。適切なエネルギーと栄養を食事からとり、適正体重の維持をめざします。

受動喫煙、大気汚染物質やハウスダストなど、肺に刺激を与える環境は避けるようにしましょう。

さらに、感染症予防の観点から外出時のマスク着用、手洗い・うがいの励行、人込みを避けるなど、感染症予防を行ってください。

体力や筋力、持久力を維持するためには、適度な散歩や体操などの有酸素運動が効果的です。呼吸リハビリテーションのプログラムをもっている病院もありますので、相談してみてください。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授

巽浩一郎

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