Question

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療法

先日、CT検査で肺気腫の傾向がみられると、医師に指摘されました。喫煙は5年前にやめました。COPD(慢性閉塞性肺疾患)のようですが、治療法はどうなりますか? 数年前から気管支喘息の薬を服用しています。

男性/60代

2022/01/28

Answer

CT検査の結果で肺気腫の傾向を指摘され、COPDではないかとのことで、治療に関するご相談をいただきました。5年ほど前に禁煙され、ご自身の健康管理に努めていらっしゃるとのこと。COPDについてご説明します。


慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、従来「慢性気管支炎」と「肺気腫」と呼ばれてきた病気をまとめた名称です。最大の原因は喫煙です。たばこの煙や大気汚染などの外界の有害粒子を吸い込むことで、気管支に炎症が起こって細くなり、気管支内の空気の流れが低下する状態になります。


慢性の炎症が2ヵ月以上続いている状態は慢性気管支炎と呼ばれます。また、気管支の「肺胞(はいほう)」というぶどうの房状の小さな袋でガス交換を行いますが、肺胞が破壊されて肺気腫になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出するガス交換の機能が低下します。


COPDは慢性の気管支炎と肺気腫が併存している状態と考えられ、呼吸器に慢性の炎症性の病変がゆっくり進行していくため、呼吸が苦しくなって動ける範囲が狭くなり、日常の生活動作にも支障をきたすようになります。やがて移動や食事、入浴、排泄などのふだんの生活動作の能力も低下していき、ベッド生活を送らざるを得なくなるなど、生活の質も低下してしまいます。現時点では、治療によって病状の回復を図ることは困難です。


COPDの主な自覚症状はせきやたんのほか、歩行時や階段昇降、荷物を持つなどの負荷がかかった時に起こる息切れです。空気を吸うことは問題なくできますが、息を吐くことが上手くできないので肺の中に必要以上に空気が貯まってしまい、呼吸の9割を担う横隔膜の位置が下がり、呼吸するための力が十分出せない状態になります。


体動時は息を吐ききれないうちに息を吸ってしまうので、空気で肺が膨らみ、息苦しくなります。一般に自覚症状を感じたときには、COPDは中等度以上に進んでいると考えられます。風邪から急に呼吸困難や肺炎を起こして状態が悪化しますが、これをくり返すうちに重症化していきます。


COPDの治療の目標は、病気の症状を和らげ、できるだけ進行を遅らせて、生活の質を保つことです。禁煙が最大の治療です。そのうえで、気管支拡張薬などの薬物療法や運動療法などに努め、年齢を重ねても快適に生活を送れることを目指します。


呼吸リハビリテーションは、呼吸困難を軽くし、生活の質を改善させます。呼吸専門の理学療法士のもとで個々の状態に合わせた内容で実施しましょう。日常生活では、風邪や肺炎などの予防が大切です。そのため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、予防可能なワクチン接種も推奨します。


COPDと気管支喘息は別の病気ですが、似た症状を併せもちます。COPDの診断を受けた方の中に喘息の要素をもつ方がいます。ただし、この二つの病気が合併したら重症化するというわけではなく、両方の管理を行うことが重要です。


ご相談者はすでに禁煙されているとのことですので、このまま禁煙を継続しましょう。また、喘息は治療中とのことですので、医師と相談しながら療養管理に努めていきましょう。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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