無気肺

むきはい

最終編集日:2023/10/19

概要

無気肺とは、肺の一部に空気が入らず、その部分の肺胞と呼ばれる組織の容量が小さくなってしまう状態を表します。片方の肺全体や「肺葉(肺を5つに分けた単位)」、「肺区域(肺を18に分けた単位)」など広範囲に広がったものを指します。「虚脱」という言葉を使うこともあります。無気肺の状態によって、閉塞性無気肺、瘢痕性無気肺、圧排性(受動性)無気肺、癒着性無気肺などがあります。

原因

無気肺を起こす原因はさまざまです。


●閉塞性無気肺

肺胞に至るまでの気道(気管支)に閉塞が起こり、無気肺になります。原因として、肺の腫瘍、気道の異物、気管支結核、粘度の高い気道分泌物などが挙げられます。無気肺のなかではもっとも多くみられます。

●瘢痕性無気肺

肺の慢性炎症によって肺胞周囲の組織が硬く線維化してしまうために、肺胞が十分にふくらまなくなります。間質性肺炎気管支拡張症、肺結核、肉芽腫性疾患などが原因と考えられます。

●圧排性(受動性)無気肺

肺胞が外から押されてふくらまない状態になったものを指します。腫瘤や腫瘍、胸水気胸、胸膜の腫瘍などが原因になります。

●癒着性無気肺

肺胞には潰れないようなしくみ(肺サーファクタント)が備わっていますが、その機能の低下により、容量が小さくなってしまいます。急性呼吸窮迫症候群、放射線肺臓炎、肺血栓塞栓症などから起こります。


上記のほか、手術による呼吸の抑制、長期間の病床生活、極度の肥満なども、無気肺となるリスクが高いとされています。

症状

無気肺が狭い範囲で起きた場合には、症状が現れないこともあります。原因疾患の症状として、せき、たん・血痰、呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)、発熱などが起こることもあります。

急激に広範囲に無気肺が起こると、呼吸困難、不整脈、チアノーゼ(顔や唇、手指などの皮膚が白色や紫色になる)、意識障害などが現れます。

検査・診断

聴診・打診、酸素飽和度測定で呼吸音や胸部の異常を確認し、胸部X線検査で、無気肺の部位、範囲、状態、原因の確定を行います。胸部X線検査では、肺の異常部位を表す「シルエットサイン」の評価が行われます。

原因疾患の特定のために、CT検査、MRI検査、気管支鏡検査、喀痰検査、血液検査などを併用することもあります。

治療

原因疾患の治療が優先されます。そのうえで、患者さん自身がせきをすることや深呼吸をすることで、空気の吸入量を増やす努力をします。

閉塞性無気肺や圧排性無気肺では、原因によって、喀痰や気管支の分泌物の排出を促す姿勢をとる「体位ドレナージ」や気管支鏡による喀痰吸引や異物の除去などを併用することもあります。

セルフケア

予防

他疾患の手術後の無気肺を防ぐために、喫煙者では、手術の6~8週間前からの禁煙がすすめられています。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授

巽浩一郎

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