脱水症だっすいしょう
最終編集日:2023/3/22
概要
脱水とは、体内の水分量やナトリウム量が失われ、さまざまな症状を現す状態を指します。体内のナトリウムが失われることで、血液などの細胞外液量が減少する病態と水が減少する病態に分けられます。
原因
体内のナトリウムが減少する病態として、夏の熱中症による脱水、胃液や腸液の喪失による嘔吐や下痢、過剰な利尿薬の内服による尿からのナトリウムの喪失、外傷による血液の喪失などです。
水が減少する病態としては、うつ病や認知症などで水分補給が十分に行えないことから脱水がひき起こされます。
症状
体内のナトリウムが減少し脱水症となると、血圧の低下、口渇感、めまい、頭痛、食欲不振、尿量の減少、発熱などが現れます。
重症になると、けいれん、濃縮尿、眼球陥凹(目が落ちくぼむ)、皮膚のツルゴール反応の低下(前腕などの皮膚をつまみ上げて放し、元の状態に戻るまでに2秒以上かかる)、皮膚の乾燥、血圧低下、脈拍の増加、せん妄などが起きてきます。さらに深刻な状態では、循環不全が起こり、ショック状態に陥ります。
検査・診断
問診で症状や発症前の環境・行動を確認し、皮膚の乾燥の様子、脈拍、眼球の陥凹の有無などをみて、血液検査(クレアチニン値や尿素窒素値、電解質のバランス、炎症反応の有無などを調べる)、尿量の測定などを行います。脱水症の原因としてほかの疾患が疑われる場合は、原因を探るための検査も並行して行います。
治療
水分と、バランスを崩した電解質を補充します。意識がしっかりして水分摂取が可能なら、経口補水液を口から摂取し、とくにナトリウムを補充します。無理な場合は点滴を行います。原因となる疾患や熱傷がある場合は、その治療も行われます。
セルフケア
予防
子どもや高齢者などの場合、次のようなことがあったら速やかに受診しましょう。重篤な場合には、救急車を呼びましょう。
いつもよりも元気がない/ぐったり・ぼんやりして反応が鈍い/唇が乾いている/皮膚がかさかさして弾力がない/めまいや立ちくらみ・ふらつきを訴える/食欲低下/足がつる/頭痛を訴える/手足が冷たい/脈拍が速い/微熱がある/暑いところ・湿度の高いところに長時間いた/炎天下に長時間いた・運動をしていた
また、救急車を待つ間、次のような応急処置を行ってください。
・適度な水分補給……自分で飲めるようなら、水やスポーツドリンク、経口補水液をゆっくり与える
・からだを冷やす……戸外なら日陰で涼しい場所に移し、わきの下、首すじ、太ももの付け根を冷やす
・安静を保つ
脱水症はあまり自覚がなく、気づいたらかなり進行していた、というケースも少なくありません。日頃から以下のような点に留意して、予防しましょう。
・水分補給はこまめに行う。1日の水分量は、食事から得るものも含めて1.5~2L
・のどが渇く前に飲む
・入浴前後、スポーツの前後、起床時・就寝前、アルコール摂取の後などは必ず飲む
・エアコンを上手に活用して、温度・湿度を適切に保つ
・暑い日や運動をした日は、スポーツドリンクや経口補水液を飲むのもよい
・かぜやインフルエンザ、下痢を伴う病気になった際は、できるだけ水やスポーツドリンクを飲むようにする
糖尿病の患者さんや利尿薬などを内服している方などは、日常的に脱水症になりやすいので、その対策について主治医と相談しておくとよいでしょう。
監修
医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長
富田益臣
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