アトピー性皮膚炎

あとぴーせいひふえん

最終編集日:2022/1/11

概要

アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患のひとつで、かゆみを伴う湿疹を慢性的にくり返す皮膚の病気です。その原因はさまざまですが、皮膚のバリア機能が低下し、原因となるアレルゲン物質(ダニ、ハウスダストなど)が侵入することで皮膚の炎症やかゆみをひきおこします。患者さんの多くは、体質としてアトピー素因(気管支ぜんそくアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれか、あるいは複数の家族歴・既往歴。またはIgE抗体ができやすい体質)をもちます。治療は、副腎皮質ステロイドなどの抗炎症外用薬や保湿剤を用いてかゆみや炎症をコントロールします。

原因

健康な皮膚は外部からの刺激や乾燥から守るためのバリア機能を備えていますが、アトピー性皮膚炎ではその機能が低下し、アレルゲン物質が侵入しやすくなります。これにより皮膚に炎症が起こり、かゆみがひきおこされます。原因は年齢や個々の体質によって異なりますが、1つではなく複数の要素が重なって起こることもこの疾患の特徴です。

●アレルゲン(アレルギー症状の原因となる物質)

ダニ、ハウスダスト、カビ、食べ物、花粉、動物の毛、ふけなど

●悪化させる因子

・アレルゲン以外の刺激

汗、衣類による摩擦、乾燥、ひっかき傷、洗剤、シャンプー、化粧品など

・その他

寝不足、過労、ストレスなど

症状

かゆみ、特徴的な湿疹と分布、よくなったり悪くなったりをくり返すのが、主な症状です。

皮膚の状態には、赤みのある紅斑、プツプツと小さく盛り上がった丘疹、ジクジクしたびらん、ポロポロ皮が剥がれ落ちる落屑(らくせつ)、ゴワゴワと皮膚が硬く厚くなった面となる苔癬化(たいせんか)、皮膚が丘疹よりも大きく硬く盛り上がる結節性痒疹などがみられます。

湿疹ができやすい部位は、顔、耳、首回り、わきの下、ひじの内・外側、ももの付け根、ひざの表・裏側などで、左右対称にできやすいという特徴もあります。


●年齢による特徴

・乳児期

頭や顔から始まり全身へ広がる湿疹。

・幼少期

ひじやひざなど手足の関節部分の湿疹、耳の付け根が切れる「耳切れ」など。

・思春期・成人期

上半身を中心に顔、首から胸にかけてや、背中などに広がる湿疹。

検査・診断

かゆみがあり、皮膚症状や発症部位がアトピー性皮膚炎の特徴に合致し、乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上くり返す慢性症状であることで診断します。さらに血液検査で、血清IgE値、末梢血好酸球数、血清LDH値、血清TARC値などを測定し、アレルギー体質の有無、進行度、重症度を評価します。

治療

湿疹のある部分にステロイド外用薬やタクロリムス軟膏やデルゴシチニブ軟膏を塗る治療、および、乾燥や皮膚のバリア機能低下を防ぐために保湿剤を塗る治療が一般的です。かゆみに対して抗ヒスタミン薬を服用したりするなど、症状にあわせた治療を組みあわせます。悪化因子を除去することも重要です。

外用薬による治療で症状が改善しない場合や、急激に悪化した場合は、免疫抑制剤の飲み薬や、医療機器による紫外線療法を行う場合もあります。治療効果が十分に出ない重症例では、JAK阻害薬の内服や生物学的製剤の注射も選択肢になります。

セルフケア

療養中

●いつも皮膚を清潔に

・汗をかいたら早めにシャワーを浴びましょう。

・石けんやシャンプーをよく泡立ててからやさしく洗い、十分にすすぎましょう。

●室内環境を整える

・アレルゲンとなるダニやカビを取り除くため、こまめに掃除を行い、布団、シーツなどを清潔に保ちましょう。

・部屋の乾燥を防ぐため、適度な湿度を保ちましょう。

●衣服対策

・直接肌に触れるインナー類は、できるだけ刺激の少ない素材のものを選びましょう。

●そのほか

・かゆみをがまんできないときは、その部分をタオルなどで冷やすと緩和されます。

・アルコールや香辛料は控えめを心がけましょう。

・できるだけストレスをためないようにリラックスできる時間をもちましょう。

監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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