接触皮膚炎せっしょくひふえん
最終編集日:2022/3/31
概要
接触皮膚炎は、化学物質や金属、化粧品などの刺激物質、アレルギーの原因物質に触れることで生じます。かゆみ、赤み、ヒリヒリ感、腫れや水ぶくれなどさまざまな症状を伴う皮膚の病気で、「かぶれ」とも呼ばれます。発症のメカニズムによって、おもに刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、光接触皮膚炎の3つに分類されます。治療には皮膚の炎症やかゆみを抑えるステロイドの塗り薬のほか、必要に応じて抗ヒスタミン薬やステロイドの飲み薬が使われます。
原因
タイプによって原因はさまざまです。
●刺激性接触皮膚炎
強い刺激をもつ物質に触れたときに、皮膚の表皮細胞内で特殊なたんぱく質(サイトカイン、ケモカイン)がつくられることで生じる炎症です。刺激物が許容濃度を超えればアレルギーの有無に関係なく誰でも発症する可能性があります。
原因物質には、化学物質、化粧品、洗剤、石けん、クリーニング溶剤などがあります。
●アレルギー性接触皮膚炎
特定の物質に対してアレルギー反応を起こす「抗体」をもつ人だけが発症します。肌に触れた微量の原因物質に対して免疫が働くことにより起こる皮膚の炎症です。
原因物質には、アクセサリーや皮革製品に多く使われるニッケル、コバルト、クロムなどの重金属類、ギンナン、ウルシ、キク、サクラソウなどの植物、点眼薬などの医薬品、化粧品、香料、ゴム製品、衣類やプラスチックに含まれるホルムアルデヒド、染毛剤に含まれるパラフェニレンジアミンなどがあります。
●光接触皮膚炎
長波長紫外線(UVA)があたり、光化学反応が起こることで生じる炎症です。通常、光があたった部分のみに症状が出ますが、あたっていない皮膚にも反応が広がることがあります。刺激性のものとアレルギー性のものがあり、それぞれ光毒性接触皮膚炎,光アレルギー性接触皮膚炎と呼ばれます。
原因物質には、柑橘類やセロリに含まれるソラレン、日焼け止め、化粧品、香水、塗り薬や湿布薬や内服薬などがあります。
そのほかにも、アレルギーの原因物質を口や鼻から吸い込む、あるいは注射など接触以外の経路で体内に入り、全身に皮膚炎を起こす全身性接触皮膚炎、皮膚の炎症が接触範囲を超えて全身に出現する接触皮膚炎症候群があります。
症状
かゆみやヒリヒリした痛み、赤い斑点(紅斑)や小さなぶつぶつ(丘疹)や腫れが生じます。時には水ぶくれができ、皮がむけてジクジクすることもあります。炎症が長引くと皮膚表面がガサガサになる場合もあり、重症例ではひどいやけどのようになります。
光接触皮膚炎では原因物質に紫外線があたることによって症状が出ます。
検査・診断
原因となるアレルゲンを特定するのがむずかしいこともあり、必要に応じて問診や視診、触診のほか、原因と疑う物質を腕や背中に48時間貼布して、除去後15~30分後、48時間後、72時間または96時間後、1週間後にアレルギー反応を確認するパッチテストなどを行います。
治療
まずは症状の原因物質を特定し、それを取り除くことが必要です。
炎症やかゆみを抑えるためにステロイドの塗り薬を使って治療を行います。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の飲み薬を使用します。
セルフケア
予防
炎症を起こす原因となる物質との接触や侵入を避けることが最大の予防策です。
・原因物質に触れないようにしましょう。
・常に肌を清潔に保ちましょう。
・かゆみがあってもなるべくかかないようにしましょう。
・アクセサリーや化粧品、洗剤など、日用品の選び方に十分注意しましょう。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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