急性痒疹(ストロフルス)きゅうせいようしん
最終編集日:2022/4/15
概要
かゆみを伴う皮膚の炎症で、1カ月以内に治癒するものが急性痒疹(きゅうせいようしん、ストロフルス)です。
原因は、蚊やノミなどの虫刺されに際しての免疫の過剰反応といわれています。まれに、血液疾患や内臓の病気に関連して起こる場合もあります。
原因
虫に刺された際の“免疫の過剰反応”と推察されています。子どもの場合、屋外で遊んでいるときに蚊に刺されたり、ネコなどのペットに触れた際に、寄生するノミに刺されたりすることがあります。蚊やノミなどの虫の唾液成分に対する免疫反応が未熟なために、虫に刺された患部が過敏に反応し、アレルギーを起こして痒疹の症状が現れると考えられています。
人を刺す蚊はおもに「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」で、刺されるとかゆみが生じますが、刺された人の体質や年齢によってかゆみが出る時間が異なります。
ノミに刺されると、1~2日後にかゆみを伴う皮疹がみられ、水疱ができることもあります。
そのほかの虫では、ブユ、ダニに刺された場合はかゆみを生じ、アリ、クモ、ハチに刺された場合は痛みを伴います。
症状
虫に刺された部位が赤くふくらんで、強いかゆみを生じます。患部は数時間から数日のうちに広がり、ウズラの卵くらいの大きさに拡大する場合もあります。
また、虫に刺されていない部位にも発疹が出ることもあります。発疹はかゆみを伴い、ときに水疱に変化するため、かゆみのためにそれをひっかくと傷になります。皮膚の炎症はしだいに改善に向かい、多くの場合1カ月くらいで自然治癒することが多いです。
検査・診断
患部の状態が特徴的なため、視診を元に診断しますが、問診で虫に刺されたことや時期(春や夏など虫に刺されやすい時期か)、患者の年齢などを把握することも、診断において、重要な要素となります。
治療
皮膚の炎症を抑えるため、ステロイドの外用薬(塗り薬)が処方されます。患者がかき壊してしまい細菌感染が懸念される場合は、抗菌薬の外用薬や飲み薬を併用します。また、強いかゆみに対しては抗ヒスタミン剤の飲み薬を使うこともあります。
セルフケア
療養中
患部をかき壊すことで皮膚に細菌が混入し、感染症を発症する可能性があります。できる限りかかないようにすることが重要です。
治ったと思い自己判断で薬をやめると、まだ治癒しておらず症状が再発するということがあります。赤みが消え、触ったときに皮膚の凹凸がわからなくなるまで、きちんと治療をつづけましょう。
予防
外出する際は、肌の露出を抑えた服装(長袖、長ズボンを着用など)を心がけ、露出する部分には虫よけスプレーなど人体用忌避剤(虫よけ剤)を使用するようにします。
・蚊の場合、ヒトスジシマカは朝や夕方の屋外で、アカイエカは夕方から夜の屋内で刺されやすいといわれています。
・ブユは高原などの山間部や渓流沿いなどで刺されやすいため、注意しましょう。
・ハチに刺されないようにするためには黒い服装を避け、白い帽子などで頭部を保護するとよいでしょう。巣の近くには近寄らないことです。
・アリは屋外ならどこにでも生息しています。とくに赤いアリは攻撃性が高いため、見つけても近寄らないようにしましょう。
・ダニは屋内のソファやカーペットなどに多く存在するため、専用の殺虫剤を用いた駆除やその後の死骸の除去などをこまめにし、ダニが好む湿気の多い部屋にしないことが重要です。また、ダニが寄生するネズミを駆除するのも有効です。
・ノミについては、寄生するペットのノミ退治や室内のノミの駆除をしましょう。
・クモは屋内、屋外ともに生息していますが、触れたり、巣に手を入れたりすることがなければ攻撃される可能性は少ないでしょう。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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