酒さ様皮膚炎
しゅさようひふえん

最終編集日:2022/3/31

概要

酒さ様皮膚炎は、ステロイド外用剤を長期間使用したことが原因で顔面の皮膚に赤みやブツブツが現れ、かゆみやひりつきなどの症状がみられる皮膚疾患です。「酒さ」という別の皮膚疾患と一見似た症状のため、酒さ様皮膚炎という名がついています。

ステロイド外用剤が原因だからといって自己判断でステロイドの使用を中止すると、激しい離脱症状が起こることがあります。皮膚科を受診し、医師に相談することが大切です。


原因

酒さ様皮膚炎は、長期間のステロイド外用剤の使用によって、皮膚の萎縮や毛細血管拡張が起こり発症します。ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療に必要ですが、顔に長期間継続して使用すると、皮膚が赤くなってかゆみやヒリヒリした刺激を生じることがあります。

「酒」の字が入っていますが、アルコールや食事が原因ではありません。また、最近ではステロイドではない外用剤でも酒さ様皮膚炎をひき起こすという報告もあります。


症状

顔面にステロイド外用剤を長期にわたって使用した結果、かゆみ、ヒリヒリ感を伴う赤みやブツブツ、うみ、落屑(らくせつ:角質が厚くなって剥がれる)などが現れます。口囲にだけみられる酒さ様皮膚炎を口囲皮膚炎と呼びます。

顔に赤みやほてり、とくに両頬や鼻が赤くなる症状がみられ、いわゆる赤ら顔の状態が酒さと似ています。


検査・診断

ステロイド外用剤の使用歴や病歴、見た目の状態などを診察して総合的に診断します。

症状が似ている酒さをはじめ、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などとの見分けも治療のうえで非常に重要になります。現れている症状がステロイドの使いすぎによるものなのか、もともとのアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎によるものなのかを見きわめることが大切です。


治療

原因となるステロイド外用剤の使用を中止します。その際、突然やめると赤みが増したり、ただれや顔のむくみなどがつづいたりする反跳現象(はんちょうげんしょう:リバウンド)が起こることがあります。そのため、外用剤を塗る量や回数を徐々に減らしたり、抗ヒスタミン剤の内服を併用したりするなど、状態にあわせてステロイド外用剤から離脱していきます。タクロリムス軟膏の外用やミノサイクリンの内服を併用することもあります。

セルフケア

療養中

自己判断で誤った対応をすると、症状が悪化する可能性があります。また、ほかの皮膚の病気(酒さ、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎など)との判別もむずかしいので、気になる症状がある場合は必ず皮膚科を受診しましょう。

日頃から皮膚を清潔に保ち、低刺激性のものを用いて適切なスキンケアを行うようにしましょう。また、紫外線は皮膚症状を悪化させることがあります。日頃から日焼け止めや帽子、日傘などで紫外線を避けることが大切です。


監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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