貨幣状湿疹
かへいじょうしっしん

最終編集日:2022/4/15

概要

直径1~5㎝ほどのコイン(貨幣)型の湿疹が多発します。秋から冬に多くみられ、強いかゆみを伴い、その形状から貨幣状湿疹と呼ばれています。

乾燥やかぶれなどをきっかけに発症し、強いかゆみを生じるため、かき壊すことで患部が広がっていきます。湿疹は全身のどの部位にも出ますが、好発部位は手やうで、足、おなか周りや臀部などです。


原因

乾燥や虫刺され、かぶれ(接触性皮膚炎)などをきっかけに生じることが多いですが、原因は不明です。皮膚への刺激や金属アレルギー、アトピー性皮膚炎の症状のひとつとして発症することもあります。

症状

直径1~5㎝ほどのコイン型の丘疹がいくつもできて、強いかゆみを生じます。かきむしることで悪化し、さらに広範囲に広がります。患部は赤、または茶褐色で、周りの皮膚との境目がはっきりとしています。中心部はジュクジュクとしており、やがて乾燥してかさぶたになり、鱗屑(うろこ状のくず)がボロボロとはがれます。

貨幣状湿疹
貨幣状湿疹

検査・診断

湿疹の状態や強いかゆみ症状などから診断されます。

真菌による感染症などと見分けるため、患部の病変組織を採取して検査を行う場合があります。

アトピー性皮膚炎などアレルギーが原因と考えられる場合は、必要に応じてアレルギー検査を行います。


治療

通常はステロイドの外用薬(塗り薬)による治療を行います。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服薬を用います。患部に細菌感染がみられるときは抗菌薬を使用します。悪化してしまうと治療に時間がかかるため、早期に皮膚科を受診し、適切な治療を受けましょう。

セルフケア

病後

再発を防ぐためにも、保湿剤を使って肌の乾燥を防ぎましょう。

予防

虫刺されやかぶれをかき壊すことにより貨幣状湿疹に進んでしまうことがあるため、虫刺されやかぶれなどがあれば早めに治療して、皮膚の炎症を抑え、患部のかき壊しを防ぎましょう。

また皮膚の乾燥も貨幣状湿疹の原因となります。秋から冬にかけては肌が乾燥するため、しっかりと保湿しましょう。


監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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