薬疹やくしん
最終編集日:2022/3/31
概要
薬の成分にアレルギー反応を起こし、皮膚に炎症が起きる症状を薬疹といいます。
原因となる薬をやめれば数日で治るものから、命に危険が及ぶほど重症化するものまで個人差が大きく、薬疹の出る範囲もさまざまです。発熱を伴う場合もあります。
薬疹を起こした薬や成分をしっかり認識し、以後それを使わないことが最大の予防策です。
原因
比較的薬疹が起こりやすい薬として、以下のものが挙げられます。
・ペニシリンなどの抗菌薬
・解熱鎮痛薬やかぜ薬
・抗けいれん薬などの神経薬
・高血圧症、不整脈、糖尿病の治療薬
・造影剤
・抗がん剤
症状
症状の現れ方は、薬の種類や重症度によって異なります。
●播種状紅斑丘疹型
薬疹患者の多くにみられます。小さな紅斑が広範囲に多発します。
●多形紅斑型
ややぷっくりした紅斑がみられ、口の中の粘膜疹も合併します。重症化することもあります。
●固定薬疹
同じ薬を飲むたびに同じ場所に円形の紅斑が現れ、くり返すたびに色素沈着が濃くなります。口唇・陰部ヘルペスと間違われることもあります。
●じんましん型
薬を飲んで数分から30分程度でじんましんが出るのが特徴です。
ほかにも紅皮症型、湿疹型、紫斑型、扁平苔癬型、光線過敏型などがあります。重症型であるスティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、内臓の病気を併発したり、全身の皮膚や粘膜がむけたりします。生命にかかわることや後遺症を残すことがあるのでとくに要注意です。
検査・診断
薬疹の診断は、問診を基本に行われます。薬を飲んだときから発疹が現れるまでの経過がくわしく聞かれます。初めて飲んだ薬で発疹が現れ、飲むのをやめたら発疹が治まった場合は薬疹と診断しやすいですが、何年も服用していた薬で薬疹が出ることもあります。
どの薬や成分に反応を起こしたかを調べるには、必要に応じてプリックテストやパッチテスト、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)などが行われます。
治療
軽症であれば、原因となっている薬の使用を中止することで改善に向かいます。その一方で、たとえ抗がん剤で薬疹が出ても、薬疹の治療を追加しつつ、その抗がん剤を中止せずにつづけることが最近増えています。
かゆみが強く紅斑が多発している場合は、抗ヒスタミン薬やステロイドの塗り薬や飲み薬などが処方されます。
重症薬疹の場合は、入院による専門的な治療が必要となります。
セルフケア
療養中
原因となる薬や成分を自身で認識し、それを飲まないことが最大の予防策です。
市販の薬を購入する際も、原因となる成分が入っていないかをしっかりチェックしましょう。
また、受診のたびに医師や薬剤師に薬疹について伝え、お薬手帳にも忘れずに記載しておきましょう。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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