風疹ふうしん
最終編集日:2022/2/19
概要
風疹は、風疹ウイルスによってひき起こされる感染症です。感染者のせきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)によって感染し、2〜3週間の潜伏期間を経て発症します。倦怠感、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどがおもな症状ですが、感染しても症状が出ない人もいます。
一度かかるとほとんどの場合、免疫ができ、その後は生涯かかることはありません。
このウイルスに免疫のない妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児に障害を残す恐れがあります。
原因
風疹ウイルスに感染している人のせきやくしゃみの飛沫を吸い込むことで感染します。
風疹は、ワクチンを未接種、または過去にかかったことがないなど免疫のないあらゆる年齢層で、感染の危険性があります。
とくに注意が必要なのは、妊娠初期の妊婦の感染です。子宮内の胎児にも感染し、流産や死産、先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome :CRS)をひき起こすことがあります。
症状
感染後、およそ2~3週間の潜伏期間を経て発症しますが、症状がないことや軽症のため感染したことに気づかないケースもあります。
おもな症状は、倦怠感、微熱、発疹、関節痛、首のリンパ節の腫れなどです。とくに耳の後ろや後頭部にあるリンパ節が腫れることが特徴です。発疹が出る4〜5日前から、発疹が出た1週間後まで感染力が持続します。
妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児に障害を残す恐れがあります。先天性風疹症候群(CRS)と呼ばれ、出産後に心疾患、難聴、視力障害(白内障)、精神や身体の発達の遅れなどがみられることがあります。
検査・診断
発熱、リンパ節の腫れ、発疹などの風疹症状の有無を確認し、血液検査を行い、風疹ウイルスに対する抗体やウイルスの遺伝子などを調べます。
先天性風疹症候群を診断するうえでも、風疹症状があったかどうかの確認は非常に重要です。
治療
治療法はなく、自然治癒が基本です。ただし妊婦が感染した場合は、慎重な対応が必要です。すぐに主治医に相談しましょう。
セルフケア
療養中
妊婦が感染した場合は、母体に対する対症療法しかできません。ですから妊娠中は人ごみを避ける等、風疹に感染しないようにすることが大切です。
予防
予防にはワクチン接種が有効で、確実な免疫をつけるには2回の接種が必要です。
風疹ウイルスが胎児に影響を及ぼす先天性風疹症候群(CRS)は、ワクチンで防ぐことができます。ワクチン接種は抗体の有無にかかわらず可能なので、子どもの頃にかかったかどうかわからない場合は接種しておくと安心です。しかし、妊娠中はワクチンを接種できません。妊婦健診で、風疹抗体をもっていない、あるいは抗体の値が低い場合(HI 法※で 16 倍以下、EIA 法で 8 IU/mL未満)は、同居の家族に「麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)」を接種してもらいましょう(麻疹は流産・早産の可能性があります)。※HI法(赤血球凝集抑制法)
風疹ワクチンを接種する際の注意点は次のとおりです。
・生ワクチンのため、妊娠中は接種できない
・ほかの生ワクチンとの間隔は4週間以上あける必要がある
・女性は接種後、2カ月間の避妊が必要となる
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美
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