川崎病
かわさきびょう

最終編集日:2022/3/30

概要

川崎病は、全身の血管に炎症が起きてさまざまな症状が現れる原因不明の病気です。とくに4歳以下の子どもに多くみられます。

1967年に、小児科医である川崎富作氏が最初に報告したことから、川崎病という病名になりました。


原因

原因として、細菌やウイルス感染、環境物質による刺激などが疑われていますが、今のところ明確な発症メカニズムは不明です。

症状

高熱、両目の充血、真っ赤な唇とイチゴ舌(イチゴのようなブツブツのある舌)、からだの発赤疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れなどがみられ、これらの6つの症状のうち5つ以上の症状があれば川崎病と診断します。また、BCGを注射された場所が赤く腫れ上がるのも、特徴的な症状のひとつです。

川崎病でとくに問題になるのは、冠動脈という心臓に血液を送っている血管に動脈瘤(こぶ)を形成する場合があることで、約2-3%の患者さんで見つかります。この動脈瘤によって血流が阻害されると血栓を生じやすくなり、血管内腔が狭窄あるいは閉塞して狭心症や心筋梗塞を起こすリスクがあります。


検査・診断

上記の症状や所見の有無を診察によって確認するとともに、血液検査や尿検査、X線検査などの画像検査で炎症の程度や全身の状態を把握します。川崎病以外の病気である可能性を除外することも重要です。また、心臓超音波検査によって冠動脈瘤がないかも確認します。

治療

川崎病に治療では、強い炎症反応を抑えて、合併症、とくに冠動脈瘤の発生を防ぐことが重要となります。

そのために、免疫グロブリンの点滴投与とアスピリンの内服を併用して、全身の炎症を抑え、血栓ができるのを防ぎます。


セルフケア

病後

早期の発見と治療開始が大切ですので、疑わしい症状が出たらすぐに小児科医のもとを受診するようにしましょう。また、治療によって炎症が治まった後も、血栓ができるのを予防するために、血小板の働きを抑えるアスピリンなどの抗血小板薬を継続して服用することが必要です。また、冠動脈の様子を超音波で経過観察するとともに、心電図異常などがないかをチェックしていく必要もあります。このため、治療後も定期的な通院を欠かさないようにしましょう。

監修

東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授

川田浩志

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