RSウイルス感染症
あーるえすういるすかんせんしょう

最終編集日:2023/3/27

概要

RSウイルスの感染によって発症する急性呼吸器感染症です。1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが感染します。感染力が強いため、何度も感染と再発をくり返します。大人が感染しても、多くは軽いかぜのような症状で済みますが、初めて感染した乳幼児は重篤な症状をひき起こすこともあるので注意が必要です。

かつては、おもに冬場に流行が起こることが多いウイルスでしたが、近年は発症時期が早まり、全国で大規模な流行が確認されています。

原因

RSウイルスに感染している人がせきやくしゃみをし、その飛沫を吸い込んで感染する「飛沫感染」と、ウイルスが付着した場所を直接的に、もしくは物を通してなど間接的に触ることで起こる「接触感染」があります。

症状

2~8日程度の潜伏期間の後、せきや鼻水、発熱などのかぜ症状が現れます。そのまま軽いかぜ症状で軽快する場合もありますが、症状が進み、重症化することもあります。

とくに初めて感染する赤ちゃんは「細気管支炎」などの合併症を起こすことがあります。細気管支は、肺に空気が送られる際の通り道で、ここに炎症が起こることを「細気管支炎」といいます。重度の細気管支炎は入院が必要となることもあります。呼吸のたびに胸がへこむ「陥没呼吸」やゼーゼーと苦しそうなせきをしているときは、重症化のサインです。速やかに受診しましょう。

検査・診断

鼻咽頭に細い綿棒を入れて検査を行う「迅速抗原検査」が一般的です。ただし、RSウイルス検査が保険適用となるのは、1歳未満の乳児や入院中の患者さんに限られています。1歳以上で検査を希望する子どもや大人は基本的に自費となります。

治療

RSウイルスそのものに対する特効薬はありません。そのため症状にあわせた対症療法が基本となります。熱が高い場合は解熱薬を使う、せきがひどいときには部屋を加湿してのどを潤すなど、症状が治まり、体力が回復するのを待ちます。もし重症化した場合は、医療機関で酸素投与や点滴、呼吸管理などが行われます。

セルフケア

予防

WHO(世界保健機関)で将来のワクチン承認に備えた議論は始まっているものの、まだ認可されているワクチン※はありません。

早産の赤ちゃんや慢性肺疾患をもつ子ども、免疫不全やダウン症の赤ちゃんには予防注射薬(シナジス)を接種することができます。詳しくはかかりつけ医に相談しましょう。


それ以外の場合は、一般的な感染対策と同様に、日頃の手洗いや、マスクの着用、共有スペースや子どもがよく触るおもちゃなどをこまめに消毒することなどが基本になります。

なおRSウイルス感染症の後にせきがつづくことがあります。「せきぜんそく」といって、空ぜきがおもな症状です。ぜんそくに準じて吸入薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬での治療が有効です。


※2023年3月27日時点の内容です。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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