ヘルパンギーナ
へるぱんぎーな

最終編集日:2022/3/15

概要

ヘルパンギーナは、コクサッキーA群ウイルスなどが原因となる感染症です。おもに夏の時期にはやる病気で、いわゆる“夏かぜ”の代表的なものです。発熱と口腔内の粘膜に水疱性の発疹ができる急性のウイルス性咽頭炎です。

5歳以下の子どもが患者の9割以上を占めていますが、もっとも多いのは1歳児です。時には、成人がかかることもあります。

感染症法では五類感染症に定められていて、小児科の定点医療機関から毎週患者数が報告されています。


原因

コクサッキーA群ウイルス、コクサッキーB群ウイルス、エコーウイルスなどエンテロウイルス属のウイルスが感染して発症します。感染者のせきやくしゃみ、しぶきなどによる飛沫感染で広がります。水疱や便に含まれるウイルスが手や口などを介して感染する接触感染や経口感染がみられることもあります。

症状

潜伏期間は2〜7日で、突然高熱とのどの痛みが出現します。口のなかの粘膜に水疱や発疹ができ、強い痛みを感じます。こうした症状によって食事や水分がとれず脱水症状を起こすこともあるので注意が必要です。

ほとんどの場合、2〜4日ほどで熱が下がり、7日程度で治癒します。まれに熱性けいれん、髄膜炎、心筋症などの合併症を起こすこともあります。

一度ウイルスに感染すれば、そのウイルスに対する免疫ができます。ただしヘルパンギーナには原因ウイルスが複数あるため、ほかのウイルスに感染すると再度発症することもあります。


検査・診断

通常、問診や視診、周囲での流行状況も参考にして診断します。

口腔内拭い液や水疱の内容物を採取して、ウイルスの分離やウイルス遺伝子の検出を行い確定診断をすることもできますが、一般の臨床の現場(医療機関の診察時など)では行われていません。


治療

特別な治療は行わず、症状に応じた対症療法を行います。

発熱、のどの痛み、口のなかの水疱などで食事がとれなくなるので、刺激が少なくのどごしのよい食事がとれるよう工夫するとともに、水分補給を十分に行うことが大切です。

セルフケア

療養中

ゆっくり休養をとり、脱水症状に陥らないように水分補給と栄養補給を心がけます。口のなかの痛みが強い場合は刺激物や味の濃い食事は避けて、口当たりのよいものややわらかい食事をとるよう工夫しましょう。

予防

予防のためのワクチンはありません。特に感染が広がる流行期は感染者との接触を避け、手洗いやうがい、せきエチケットなどを徹底しましょう。

監修

川崎医科大学 小児科学 教授

中野貴司

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