麻疹ましん・はしか
最終編集日:2022/2/19
概要
麻疹はいわゆる“はしか”のことで、麻疹ウイルスに感染することでひき起こされる急性の全身感染症です。感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、感染力は非常に強く、感染者のほとんどが発症します。肺炎や脳炎などで 1000 人に 1 人が死亡する可能性があるなど、麻疹は重大な病気です。
妊婦が感染すると重症化や合併症の可能性があり、流産や早産のリスクも高まります。確実な予防法はワクチン接種です。
原因
麻疹ウイルスによる感染症です。
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、免疫をもたない人が感染するとほぼ100%発症します。
症状
麻疹に対する免疫をもたない人が感染すると体内でウイルスが増殖し、10日~2週間ほどで、発熱、せき、鼻水などかぜに似た症状が出始め、2〜4日ほどつづます。この時期が周囲への感染力がもっとも強いといわれています。次にほほの粘膜に、コプリック斑と呼ばれる小さな白い斑点が現れ、その後39℃以上の発熱症状とともに、全身に赤い発疹が出てきます。
ときに重症化し、入院するケースもあります。
とくに妊娠中は抵抗力が弱いため、重症化や肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症をひき起こす可能性や、流産や早産のリスクも高まります。
検査・診断
多くは症状を確認し、流行状況などをみて確定しますが、発疹の出る前(かぜ症状の段階)に受診した場合、麻疹と判断するのが難しいこともあります。検査では血液検査による麻疹ウイルスの抗体検査や尿検査、咽頭ぬぐい液による遺伝子検査が行われます。
治療
特効薬がないため、アセトアミノフェンなどの解熱剤を用いた対症療法が中心となります。合併症があればそれに応じた治療が行われます。
妊婦が感染した場合は慎重な対応が必要です。すぐに主治医に相談しましょう。
セルフケア
療養中
麻疹にかかった場合は、発熱で大量の汗が出るので、こまめな水分補給が大切です。呼吸が苦しく、発疹が出てから4日を過ぎても熱が下がらない、意識がもうろうとする場合は、すぐに主治医に相談しましょう。
予防
麻疹はワクチン接種で防げる病気です。ほとんどの人は一度感染すると生涯にわたる免疫を獲得できます。過去に麻疹にかかったことがあるか不明な場合は、妊娠前に抗体をもっているかを確認し、必要な場合はワクチンの接種を受けておくと安心です。ワクチン接種は抗体の有無にかかわらず受けられます。
麻疹ワクチンを接種する際の注意点は次のとおりです。
・妊娠中はワクチンの接種はできない
・ほかの生ワクチン接種との間隔は4週間以上あける必要がある
・女性は接種後、2カ月間の避妊が必要となる
監修
JR東京総合病院 産婦人科医長
松浦宏美
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