流行性耳下腺炎りゅうこうせいじかせんえん・おたふくかぜ
最終編集日:2022/3/12
概要
通称“おたくふくかぜ”と呼ばれる流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルスに感染することで耳下腺が腫れて痛む感染症です。
飛沫や接触により感染し、潜伏期間は2〜3週間で、突然の発熱と、両側あるいは片側の耳下腺に腫れと痛みが起こります。重症化すると、髄膜炎や精巣炎、成人女性には卵巣炎、難聴などの合併をひき起こす可能性があります。
妊娠初期に感染すると流産のリスクが高まります。妊娠前のワクチン接種により予防が可能な病気です。
原因
ムンプスウイルスの感染により発症します。
3~6歳までの感染者が多いのですが、大人でもかかることがあります。
症状
おもな症状は、唾液をつくる耳下腺や顎下腺(あごの下あたり)の腫れや痛み、飲み込むときの痛み、発熱、倦怠感、嘔吐などです。多くは症状が出てから48時間以内にピークに達し、腫れや痛みは1週間程度で治まります。
重症化すると、髄膜炎や精巣炎、卵巣炎、難聴などの合併をひき起こす可能性があり、妊娠初期の妊婦がかかると流産のリスクが高まります。
一度下がった熱が上がり、腹痛、頭痛などがある場合は、髄膜炎などの合併症が起きている可能性があるため、早急な受診が必要です。
検査・診断
多くは問診、視診、触診により症状と流行状況から診断します。
診断が難しい場合に、血液検査でムンプスウイルス感染の有無を調べることもありますが、標準的な検査ではありません。
治療
特効薬はありませんが、通常は1~2週間で自然治癒するため、安静にして痛みや発熱の症状をやわらげる対症療法で様子をみるのが一般的です。
妊婦が感染した場合は、慎重な対応が必要です。すぐに主治医に相談しましょう。
セルフケア
予防
ワクチン接種で予防することができます。
【妊娠初期の感染予防】
過去にかかっている場合は免疫ができていますが、かかったことがあるかどうかの記憶があいまいな人は、妊娠前にパートナーも一緒にワクチン接種を受けておくと安心です。ワクチンは抗体の有無にかかわらず接種可能です。
ムンプスワクチンを接種する際の注意点は次のとおりです。
・生ワクチンのため、妊娠期間中は接種ができない
・ほかのワクチンとの間隔は4週間以上あける必要がある
・接種後2週間は避妊が必要になる
また、ムンプスワクチンは現在、任意接種とされていますが、日本小児科学会は子どもへの接種を推奨しています(2022年2月現在)。
監修
JR東京総合病院 産婦人科 医長
松浦宏美
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