顎関節症

がくかんせつしょう

最終編集日:2023/8/7

概要

顎関節は、耳の前辺りに左右に1つずつあります。下あごの下顎頭(かがくとう)という突き出た部分が側頭骨(頭側)のくぼみ(下顎窩〈か〉)に、はまった形をしています。下顎頭と側頭骨の間には、関節円板という硬い線維組織があり、顎関節の周囲の咀嚼筋(そしゃくきん)が口の開閉を行っています。

顎関節症は、顎関節と咀嚼筋に異常が起こり、口の開閉がスムーズにいかなくなる病気です。障害の状態によって、①咀嚼筋痛障害:Ⅰ型、②顎関節痛障害:Ⅱ型、③顎関節円板障害:Ⅲ型、④変形性顎関節症:Ⅳ型に分類されます。

原因

原因は不明です。かみあわせの悪さ(不正咬合)や、食いしばり、歯ぎしり、ふだんの姿勢・からだのバランス、精神的緊張やストレスなどが原因といわれることもあります。しかし、まだ特定できるものはないとされ、複数の要因が関係しあって発症を招くと考えられています。外傷や生まれつきの顎関節の異常が関与することもあります。

症状

顎関節痛・咀嚼筋痛、開口障害、顎関節雑音が起こります。


●顎関節痛・咀嚼筋痛……あごの付け根(耳の前辺り)が痛い、物をかむときに痛みや違和感がある、食事中にあごがだるくなる。

●開口障害……口が開けづらい、痛くて開けられない、口を左右に動かせない。

●顎関節雑音……口の開閉時に、カクッ、カクン、コキンなどの音がする。


また、顎関節症がつづくと、歯痛、頭痛、肩こり、背中や腰の痛み、耳鳴り、耳痛、めまい、目の疲れ、鼻閉感(鼻が詰まった感じ)などが起きてくることもあります。

検査・診断

問診、視診、触診のほかに、X線・MRI検査が行われます。外傷、顎関節強直症、顎関節の炎症、腫瘍、顔面神経麻痺、口腔疾患(むし歯、根尖病巣、歯周病など)との鑑別が必要です。

治療

顎関節症は、まだ標準治療(科学的根拠に基づいた、安全で多くの人に効果が見込める治療)が確立されていません。また、数週間から数カ月で症状が軽快することも多く、約70%の患者さんは発症から1年以内に症状が改善するという報告もあります。ここでは、一般的に行われる治療を紹介します。障害の状態(Ⅰ型~Ⅳ型)や症状の強さにあわせて治療方法が選択されます。


●薬物療法……痛みが強い場合に消炎鎮痛薬や抗うつ薬などを服用する。ただし、最長服用期間として2週間が目安とされている。

●理学療法……マウスピースを用いて左右のかみあわせを均等にして顎関節への付加を軽減する「スプリント療法」、咀嚼筋のマッサージ、咀嚼筋に電気的な刺激を加える「マイオモニター療法」、ホットパックなどで温める温罨法(おんあんぽう)、冷湿布を用いる冷罨法(れいあんぽう)、顎関節の可動域訓練、咀嚼筋の筋力増強訓練などがある。

●生活指導……「セルフケア」(下記)にあるようなことに注意する。


顎関節症は、生活に支障のない状態にもっていくことを治療のゴールと考え、多少の違和感や口の開閉時に音があっても痛みがなく、咀嚼ができていれば経過観察でよいでしょう。また数カ月間、治療を行っても改善がみられない場合は、ほかの治療法、あるいはほかの医療機関への受診を検討することがすすめられています。主治医とよく相談してください。

セルフケア

予防

生活改善によって、症状を軽減・予防できることがあります。次のようなことを実践しましょう。とくに口の癖がある人の場合には、癖を直さないと容易に再発してしまいます。


●症状があるときは、おかゆ、軟らかめの麺類などのあまりかまなくてよい食事にする。

●大きなあくびをしない。

●歯科治療の際には、顎関節症のことを歯科医に申し出て、治療時間を短くしてもらう。

●うつぶせ寝は避ける。

●ストレッチや軽い運動で血行をよくし、全身の筋肉をほぐす。

●頰づえをつかないようにする。

●ふだんは唇を軽く閉じて、上下の歯は接触させないようにする。

●食いしばり、歯ぎしりなど、かむことの癖があったら、改善する。

●睡眠、休養を十分にとって、ストレスの解消に努める。

監修

新高円寺はっとり歯科医院 院長

服部重信

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