顎変形症がくへんけいしょう
最終編集日:2024/6/25
概要
上下のあごの形、大きさ、位置に異常があり、顔の左右のバランスがとれていない、かみ合わせが悪い(不正咬合)などがみられる状態を指します。通常、矯正歯科、口腔外科、形成外科、耳鼻咽喉科などが連携して診断・治療にあたります。
原因
原因はまだ明らかになっていません。遺伝的な要因、幼児期の指しゃぶり、舌の癖などが発症にかかわるとされています。原因疾患のある二次的なものとして、外傷、口蓋裂(こうがいれつ)などの生まれつきの病気などによるものがあります。
症状
顎変形症があると不正咬合がみられます。不正咬合には、上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、開咬(かみ合わせると前歯が合わずに隙間ができる)、叢生(そうせい:歯並びが乱れている)、偏位咬合(上下の歯の中心線が合わない)などがあります。不正咬合があると、食べ物のかみにくさ、話しづらさなどが起こり、審美的な悩みをもつことも少なくありません。
検査・診断
問診、視診のほかに、矯正歯科でのセファロ(側方頭部X線写真)、パノラマX線写真で歯並びやあごの状態をみます。口腔外科、形成外科では必要に応じてCT検査やMRI検査、顎機能検査、筋電図検査などを行い、確定診断します。
治療
顎変形症の治療は、画像検査や歯列模型などをもとに、治療後の最終形までの治療計画を綿密に立てて、それに沿って進められます。
軽度の顎変形症では、歯科矯正治療だけで改善が見込めるケースもあります。改善できない場合には、あごの骨を切る手術を行います。手術は全身麻酔下にて行われ、あごの骨を切り、矯正医の指定した適切な位置にあごを動かして、最後にプレートやスクリューを用いて切った骨を固定します。口の中からアプローチするため、顔面に傷が残ることはありません。術前・術後に歯科矯正治療を行って、歯並びも改善します。手術は骨の成長が終わってからの適応になるため、通常は18歳以上で行われます。
また、術前・術後には指しゃぶりや舌の癖(前歯の裏側を押す、普段から舌を軽くかんでいるなど)を直すことも必要になります。治療には1年から数年かかることもあります。
セルフケア
予防
日本小児歯科学会では、子どもの指しゃぶりは3歳くらいまではあまり心配はいらないとしています。しかし、4歳以降も頻繁に指しゃぶりをするようなら、小児歯科や小児科の受診がすすめられます。
舌の癖がある場合は、直すように努力することが大切です。顎変形症の治療後にも舌の癖が残っていると、改善した歯並びが元に戻ってしまう可能性もあります。
治療は長期にわたり、頻回の通院が必要です。手術を受けても術後の歯科矯正治療を続けられないと、効果的な改善は見込めません。矯正歯科医や口腔外科医、形成外科医などとよく話し合って、納得のうえで治療にとりかかりましょう。
なお、顎変形症治療を必要としない歯科矯正は保険適用外で自費診療になりますが、顎変形症の治療を行う場合は保険適用になることがあります。
監修
新高円寺はっとり歯科医院 院長
服部重信
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