顎関節脱臼

がくかんせつだっきゅう

最終編集日:2022/4/7

概要

大きく口を開けたときに顎関節が脱臼することで、いわゆるあごが外れた状態です。両側の場合もあれば、片側だけの場合もあります。上あご、下あごをつなぐ下顎窩(かがくか)と下顎頭(かがくとう)の接触がまったくなくなるものを完全脱臼、一部が接触しているものを不完全脱臼といいます。無理に戻そうとすると骨折の恐れがあるため、必ず医療機関で整復してもらうことが肝要です。脱臼の状態が固定しないよう、早急に受診しましょう。

原因

関節の運動支点である下顎頭が正常な可動域を越えて、関節から外れて口が閉じられなくなる状態を顎関節脱臼といいます。下顎頭が下顎窩から前方、後方、あるいは上方に転位し、顎運動障害が生じた状態です。顎関節には靱帯や咀嚼筋があり、これらの使いすぎで疲労し、機能が低下することも原因として考えられます。

こうした状態になる原因としては、頻繁なあくび、過度の開口、打撲、顎骨骨折、事故によるダメージなどがあります。ほかにも、一部の向精神薬などの服用やてんかん発作などによることもあります。顎関節脱臼が癖になっている場合は、歯科治療や気管内挿管によって再発しやすいため、注意が必要です。


症状

顎関節脱臼が起きると、通常は瞬時に激しい痛みが生じます。とくに関節内部の関節円板が障害を受けると、激痛になることが多いようです。痛みは時間の経過とともに軽減することもありますが、脱臼したままの状態では、口の開閉や言葉を発することが困難になります。咀嚼や嚥下に障害が出るため、食事もままならなくなります。

高齢者や認知症の人などの場合、顎関節脱臼を起こしても自覚症状として感じないこともあるため、周囲の人の注意が必要です。


検査・診断

検査ではまず、脱臼を自覚した際の状況を問診で聞き取ります。その後、視診で顔面と口腔内を観察し、両側の耳前部の陥没や関節前方部がある頰骨下部に隆起があるか、また両側臼歯部の状態や開口、咬合に不具合があるかなどを調べます。X線検査で、下顎頭が下顎窩より逸脱している状態であり、前上方に固定されていることを確認します。治りにくく、手術が必要な場合は、CT検査やMRI検査の画像検査を行うこともあります。


治療

発生後の時間経過が短ければ、手技を用いた徒手修復で、脱臼した関節を元の位置にはめ直すことで治ります。しかし、自分や周囲の人が無理やり戻そうとすると骨折の危険などがあるため、必ず医療機関を受診することが重要です。整復終了後は再びあごが外れないように、しばらく弾性包帯で固定し経過観察します。

徒手修復が困難な場合や、精神疾患、精神発達遅滞、運動障害などがあり、施術がむずかしい場合は、笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法などの併用で不安を和らげたり、全身麻酔や筋弛緩薬を併用して施術することもあります。また、脱臼から長期間経過し、脱臼が慢性化している場合は、徒手修復がむずかしくなるため、手術が必要になる場合もあります。


セルフケア

病後

顎関節脱臼を経験すると、その後も再発することが多くなります。そのため、またあごが外れそうに感じられた場合は、大きく口を開けたり、さらにそれ以上、あごを開かないようにしたりすることが大切です。万一、外れてしまった場合、自分で無理やり戻そうとするのは厳禁です。専門家以外が行うと骨折の危険などがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。


監修

新高円寺はっとり歯科医院 院長

服部重信

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