歯周病
ししゅうびょう

最終編集日:2023/3/24

概要

歯と歯ぐき(歯肉)の間(歯肉溝)にたまったプラーク(歯垢)に存在する細菌が、歯肉に炎症を起こし、その状態がつづくことで、歯を支える「歯槽骨」が溶けてしまう病気です。日本人が歯を失う原因としてもっとも多く、4割近くを占めています。むし歯は約3割で第2位となっています。30歳以上の約8割が歯周病にかかっているとされています。


近年、歯周病と全身疾患に関連があることが明らかになっています。糖尿病があると免疫機能の低下が起こり、歯周病の炎症を悪化させて歯周病を進行させます。そのため、歯周病は糖尿病の合併症のひとつと捉えられています。糖尿病の患者さんの歯周病を治療すると、血糖値が改善することもわかっていて、2つの病気は相互関係にあるといえます。

また、大きな手術の前の歯周病治療は、感染症などの手術の合併症のリスクを減らすこともわかっており、すでに術前に歯周病治療を行うことが一般的になっています。

そのほか、誤嚥性肺炎や心疾患、慢性腎臓病、がんなどとの関連も報告されています。

原因

歯垢が原因になります。歯垢はいわば細菌の塊で、1㎎中1億個以上の細菌が存在しているといわれます。歯周病の発症や悪化にかかわるおもな細菌には、P.g.菌(ポルフィロモナス・ジンジバーリス)、A.a.菌(アグリゲイトバクター・アクチノミセテムコミタンス)、P.i.菌(プレボテラ・インターメディア)、T.f.菌(タンネレラ・フォーサイセンシス)などがありますが、歯周病の発症や悪化には複数の細菌が関与することがほとんどです。

細菌のなかには、唾液に含まれるリン酸やカルシウムと結合して石灰化し、歯石として歯の表面に付着するものもあります。歯石には細菌が付着・増殖しやすく、さらに歯周病を悪化させます。

症状

歯周病の初期にはあまり症状は現れません。炎症が進むと、歯肉が腫れる、歯磨きのときに出血する、起床時に口内がねばねばする、口臭が気になる、歯が浮く感じがする、などが起こります。また、歯肉が下がって歯の根っこの部分に、隣の歯とのすきまができるようになります。さらに進行すると、歯がグラグラして抜けてしまうこともあります。

炎症が強くなってうみがたまる「歯周膿瘍(ししゅうのうよう )」になると、うみがたまった部分が腫れ、痛みが起こります。発熱や倦怠感を伴うこともあります。

歯周病
歯周病

検査・診断

針状で目盛りがついている「ポケットプロープ(ポケット深針)」というデバイス(医療器具)を歯肉溝に挿入して、歯周ポケットの深さを測ります(プロービング検査)。歯肉溝の正常な深さは1~3mmで、4 mm 以上で歯周病と診断されます。同時にX線で歯や歯槽骨の状態をみて、歯周病の進行度を調べます。歯周病が進んで歯槽骨が溶けていると、歯肉の下にある1本1本の歯根部分の輪郭がはっきりしない像として写ります。

治療

①急性期治療

歯周膿瘍を起こしているような急性期の場合には、排膿処置や抗菌薬の投与などが行われ、症状の鎮静化を行います。


②歯周基本治療

急性期症状が落ち着いたら、歯周基本治療が行われます。基本になるのは、適切な歯磨きと、定期的な歯垢や歯石の除去です。


●歯磨き

歯肉溝を中心に磨くイメージです。45°の角度で歯ブラシの毛先を歯肉溝にあてて、左右に細かく、あまり力を入れずに動かします。歯磨き粉をつけすぎずに、最初のうちは鏡を見ながら行いましょう。1回の歯磨きは5分以上かけてゆっくりと、磨き落としがないようにします。


●歯石の除去

歯石は、毎日の歯磨きでは落とし切れないため、定期的に歯科で除去してもらう「メンテナンス」が必要になります。専用のデバイスを用いて、1本ずつ除去します。歯周ポケットが深い間は、2~3カ月に1度など、頻回に行います。歯周ポケットが4 mm 以下になったら、半年から1年に1度程度でよいでしょう。


●補綴物や義歯、かみあわせの改善など

歯の不具合があると、かみあわせに過剰な力がかかったり、歯磨きがしにくかったりします。そのことが歯周病の悪化につながることも多いため、不具合を改善します。


③外科治療

歯周基本治療を行っても、なお歯周ポケットが深く、改善が見込めない部分については、外科治療が行われます。歯肉を切開して歯周ポケットの深い部分の歯垢や歯石を除去する「フラップ手術」、歯槽骨が溶けている部分に行われる「歯周組織再生療法」があります。切開した部位に歯周組織の成長を促す薬剤を塗る方法や、口内から採取した骨を移植する方法などがあります。

セルフケア

予防

何よりも、正しい歯磨きを最低1日1回は実践することです。歯ブラシだけでは汚れは完全に落ちないため、歯間ブラシやデンタルフロスなども併用しましょう。そして歯科での定期的なメンテナンスを受けましょう。


また、喫煙はリスクを約3倍高めるといわれています。禁煙を心がけましょう。ドライマウスの人は、口腔内の自浄作用をもつ唾液の分泌が少ないことから、細菌が増殖しやすい環境になっています。歯科で治療を受けられるので、相談してみましょう。

監修

新高円寺はっとり歯科医院 院長

服部重信

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