かぜ?マイコプラズマ? 長引く咳の原因は…
最終編集日:2024/10/7
咳が止まらず、かぜがなかなか治らない……、その症状は単なるかぜではなく、別の病気かもしれません。2週間以上、咳が続く場合は、マイコプラズマ肺炎、咳ぜんそく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のほか、さまざまな病気が疑われます。放置せずに、呼吸器内科を受診して原因を特定した上で、適切な治療を受けましょう。
長引く咳の原因として、増えている病気を紹介します。
●マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニアエ)いう細菌に感染することで発症する呼吸器の呼吸器感染症で、秋冬に増加する傾向があります。新型コロナウイルス感染症流行後は、マスクなどの感染症対策がとられていたためかマイコプラズマ肺炎の発生が減少しましたが、近年増加しています。
患者の咳などの飛沫を吸い込んだり、患者と接触したりすることで感染します。感染から発症まで2~3週間もあることや、単なるかぜと思って出歩き、気づかずに人にうつしてしまうことから、「歩く肺炎」とも呼ばれています。
マイコプラズマ肺炎は14歳以下の子どもに多く見られる病気ですが、大人でも発症します。特にぜんそくのある人は、感染すると、ぜんそく発作が起こり呼吸困難になる可能性もあるので注意が必要です。
発症すると、かぜに似た発熱、頭痛、全身の倦怠感、咳の症状が現れます。咳の症状は少し遅れて現れることもあります。熱が下がっても、痰のない乾いた咳が3~4週間続くのが特徴です。一部は肺炎へと重症化することもあります。また、マイコプラズマ肺炎を発症した5~10%未満の人に中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発するケースも報告されています。
治療には抗菌薬(抗生物質)が用いられますが、近年は、マイコプラズマの感染症に使われている抗菌薬が効かない耐性菌もあると報告されています。耐性菌に感染した場合は、別の抗菌薬で治療します。
●咳ぜんそく
咳ぜんそくは、空気の通り道である下気道(気管、気管支)の炎症によって起こります。症状は咳のみで、ぜんそくのような呼吸時の「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)はありません。なお、咳は夜中や明け方に出やすくなるのが特徴です。
長引く咳を放置して適切な治療を受けないと、咳ぜんそくの3~4割は気管支ぜんそくへと移行するといわれています。治療の基本は吸入ステロイド薬。薬によって咳の症状が治まりますが、再発防止のためにも医師の指示があるまで治療を続けることが大切です。
●COPD
COPD(慢性閉塞性肺疾患)のほとんどは喫煙が原因といわれ、たばこ病とも呼ばれています。たばこの煙や大気に含まれる有害物質によって肺に炎症が起こると、肺胞の壁が壊され、気管支も狭くなるため、痰がからむ咳が出るようになります。また、肺胞の破壊が進行すると、息切れの症状もひどくなります。第一に禁煙をし、症状の進行程度に合わせて薬物療法や呼吸リハビリテーションなどの適切な治療を行うことが大切です。
監修
東京科学大学 教授
宮崎泰成
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