心筋炎しんきんえん
最終編集日:2022/3/13
概要
心筋は、心臓を収縮させて血液をからだ中に送り出すための筋肉です。
この心筋自体に炎症が生じた状態が心筋炎です。慢性心筋炎、急性心筋炎、劇症型心筋炎、拡張型心筋炎類似型などに分類され、そのうちの多くは、細菌やウイルス感染により発症する「急性心筋炎」です。
発熱やせきなどのかぜ症状から始まり、そのまま治ることもあれば、重症化しショック状態に陥ることもあります。
原因
心筋炎の多くは細菌やウイルスなどの感染によって発症します。原因となる細菌はおもに肺炎菌やジフテリア菌です。ウイルスではかぜ、インフルエンザなどが原因となります。
ただし、細菌やウイルスに感染してもすべてが心筋炎を発症するわけではありません。
症状
発熱やせき、鼻水などのかぜ症状、下痢や腹痛などの消化器症状がみられた後に、胸部不快感、息切れ、手足や顔のむくみ(浮腫)などの心不全症状が現れます。
重症化すると胸痛、呼吸困難、血圧の低下や意識障害などのショック状態へと進行することもあります。重篤な不整脈や心停止を起こすこともあり、突然死の原因となることもあります。
検査・診断
心電図検査や心臓超音波検査(心エコー検査)が行われます。また血液検査で炎症所見や心筋逸脱酵素、ウイルス抗体などを調べます。
治療
心筋炎は、心電図検査や心臓超音波検査を行ったときだけに異変があり、自覚症状がないまま自然治癒に至る軽症のものから、数日から数週の間に心不全や房室ブロック(心房と心室間の電気信号がうまく伝わらない状態)、重篤な不整脈で死亡する劇症のものまで多様なケースがあるため、治療法は多岐にわたります。
一般に、急性期には不整脈や心不全に対する治療から始め、悪化がみられたときには血液循環を補助する目的で大動脈バルーンパンピング、補助循環装置、人工心臓を用いた治療が行われます。
セルフケア
予防
心筋の細胞は再生機能をもちません。そのため、炎症によって壊される細胞の範囲が広がると、心臓に与えるダメージも確実に広がります。
かぜは万病のもとといいますが、その先に心筋炎があるかもしれないことを頭の片隅にとどめておいてください。ウイルスや細菌への感染予防に努め、かぜ症状があり、とくに胸に違和感を覚えたときには、早めに医療機関を受診しましょう。
監修
小田原循環器病院 循環器内科 院長
杉薫
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