脂質異常症ししついじょうしょう
最終編集日:2022/2/7
概要
脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことをいいます。過剰な脂質が血管壁にたまると、高血圧や動脈硬化をひき起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。
また、糖尿病の人は脂質異常症を併発しやすく、動脈硬化を進行させるリスクが高まります。
原因
ほとんどが生まれつきの体質が影響し、脂質異常症になりやすい傾向の人が運動不足や高カロリーで高脂質な食生活を続けると、脂質異常症が現れやすくなります。
また遺伝的に脂質の代謝がうまく行われない人もいます。これはリピドーシス(脂質代謝異常症)や家族性脂質異常症と呼ばれ、生活習慣の見直しだけでは改善されないため専門医の治療が必要です。
症状
脂質異常症により血管は損傷を受けるようになりますが、ほとんど自覚症状が現れることはないため、放置されがちです。ある日突然、狭心症や心筋梗塞などの発作が現れることも少なくありません。
検査・診断
自覚症状を伴わないため、健康診断の項目にある血液検査で偶然に見つかる場合がほとんどです。
検査の結果、LDLコレステロール (悪玉コレステロール)値の高さ、HDLコレステロール (善玉コレステロール)値の低さ、中性脂肪(トリグリセリド)値の高さが、基準値の範囲内にない場合、脂質異常症と診断されます。
●診断基準(いずれも空腹時採血)
LDLコレステロール値140mg/dL以上
HDLコレステロール値40mg/dL未満
中性脂肪値150mg/dL以上
近頃ではnon-HDLコレステロールという値も脂質異常症の診断基準に加わっています(170mg/dL以上)。
治療
脂質異常症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法(薬による治療)が主軸です。食事療法では、脂質や糖質、カロリーのとりすぎなどに気をつけます。運動療法では、カロリーを消費することで改善していきます。薬物療法では、スタンチン系の治療薬を使っていきます。
セルフケア
予防
発作を防ぐには、毎日の生活(食事や運動)に気をつけることと、健康診断などで脂質異常症の疑いがあるといわれたら、放置せずに受診して医師の指導を受けることが大切です。
監修
小田原循環器病院院長
杉薫
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