脳卒中
のうそっちゅう

最終編集日:2025/12/26

概要

「脳卒中」という言葉の「卒中」は、「突然現れる症状」という意味です。そして脳卒中とは、脳の血管が破れたり詰まったりして、脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の働きに障害が起きる病気です。急に手足の麻痺やしびれが出たり、言葉が出なくなる、激しい頭痛がする、時には意識障害が出たり、命を脅かすこともあります。

特に、中高年の働き盛りに多く、家庭生活や社会生活に影響を及ぼす大変怖い病気です。

脳卒中には、脳の血管が破れて起こるタイプと、血管が詰まって起こるタイプがあります。脳の血管が破れて起こるタイプには「脳出血」と「くも膜下出血」があります。血管が詰まって起こるタイプには「脳梗塞」と「一過性脳虚血発作」があり、脳梗塞はさらに心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞に分類されます。

原因

・「脳梗塞」は、脳の血管が動脈硬化で細くなって詰まったり(脳血栓)、心臓や頸動脈の壁から血の塊(血栓)が流れてきて詰まったり(脳塞栓)して血が流れなくなります。一過性に症状を出すものが、一過性脳虚血発作です。

・「脳出血」は、脳の中の細い血管が高血圧による動脈硬化性変化で弱くなったところから出血し、血腫をつくります。脳実質内での出血のため、直接脳を損傷し片麻痺などが生じます。

・「くも膜下出血」は、脳の表面のくも膜下腔にある動脈にできた瘤(動脈瘤)の破裂によるものがほとんどで、40~60代の働き盛りを中心に発症します。


「脳出血」と「脳梗塞」の原因になる共通の血管変化として動脈硬化性変化があり、これを進行させたり、血栓を生じさせる要因として、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、不整脈、喫煙やストレスなどが挙げられます。

(左から)「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の、脳の状態
(左から)「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の、脳の状態

症状

脳卒中では、脳血管のどの部分のどの範囲がどの程度詰まるかによって、症状が異なります。

おもな症状には次のようなものがあります。

・嘔気・嘔吐やめまいが続く

・片側の手足や顔半分に麻痺やしびれが起きる(片麻痺、半身運動麻痺、半身知覚麻痺)

・ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言葉が理解できない(構音障害、失語症)

・立てない、歩けない

・片方の目が見えない、物が2つに見える(複視)、視野が半分欠ける(視野欠損)

・経験したことのない激しい頭痛(くも膜下出血で顕著。 脳梗塞では頭痛はないか、あっても軽度のことが多い)

さらに、脳内の出血や腫れが進行して重篤になると、意識がなくなったり、命にかかわることになります。

検査・診断

脳卒中では、意識障害を伴うことがあるため、まずCT検査、MRI検査、MRA検査などの画像検査で出血の有無、梗塞の有無や部位と広がり、脳血管の狭窄や閉塞の有無、脳動脈瘤の有無などを確認します。

梗塞が疑われる場合は、CTA(CT血管造影法)を早期に実施し、脳血流の評価や治療方針検討のためにSPECT(脳血流検査)を行うこともあります。

必要に応じて血液検査、心電図、胸部X線、頸動脈エコー、心エコー検査などを行います。

治療

脳卒中のタイプや病状などに応じて、薬による治療や手術などが行われます。脳卒中の場合はどれだけ早く適切な治療を行えるかで、回復度や後遺症の程度などが変わってきます。

脳出血の場合は、血圧や呼吸管理を行い、手術の適応があるかどうかの検討が行われます。脳梗塞では、血栓溶解療法や血栓回収療法などの適応を判断し、可能であれば実施されます。適応可能な治療には時間的な制約があるため、迅速な対応が必要です。

治療後、運動機能や言語機能に麻痺や障害が残った場合は、早期からリハビリテーションを行う必要があります。

セルフケア

予防

脳卒中の予防には、高血圧症や糖尿病、脂質異常症、肥満、運動不足などのいわゆる生活習慣病の管理・予防がきわめて大事です。食生活では、塩分やカロリーのとりすぎ、食べすぎ、飲みすぎなどを避け、バランスのよい食事のほか、適度な運動、特に有酸素運動の継続を心がけましょう。さらに、たばこに含まれるニコチンは血圧を上昇させ、動脈硬化を進行させるといわれているため、喫煙習慣があれば禁煙することが大切です。十分な睡眠、便秘の改善、入浴時の温度差に注意、心疾患(特に心房細動)の治療も必要です。

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監修

昭和医科大学医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司