痛風発作つうふうほっさ
最終編集日:2025/12/18
概要
痛風発作は「痛風関節炎」ともいわれ、尿酸の結晶が関節内に沈着し、急性の強い炎症を起こす病気です。俗に「風が吹いても痛い」というほどの激痛を特徴とします。
血液中の尿酸が高い状態(高尿酸血症)が続くと、関節内の滑膜などで結晶化し、白血球が反応して腫れ・発赤・強烈な痛みが生じます。痛風発作が出ているときは、抗炎症薬が使われます。
原因
痛風発作は、高尿酸血症により生じる急性関節炎です。
尿酸の排泄低下(腎臓での排泄障害)がもっとも多く、次いで尿酸の産生過剰、両者が混在する場合があります。尿酸値が高い状態が続くと、関節や腎臓などに尿酸結晶が沈着し、発作の原因となります。
症状
痛風発作は、急激な関節の腫れ、発赤、熱感、激痛を伴います。もっとも多い部位は、足の親指のつけ根などに起こることが多いですが、足関節、膝関節などにも起こります。1~2週間で自然軽快することもありますが、治療せず高尿酸血症を放置すると再発を繰り返し、慢性化することがあります。初期の違和感の段階で治療を開始すれば、発作を抑えられることがあります。

検査・診断
尿酸値の測定が基本ですが、痛風発作中は尿酸値が必ずしも高値になるとは限らず、正常値のこともあります。診断は以下を総合的に評価して行います。
・血清尿酸値
・尿中尿酸排泄量(尿酸クリアランス)
・画像検査(超音波検査)
・臨床経過(発赤・腫脹・激痛の典型的発作)
※確定診断は関節液中の尿酸塩結晶の確認ですが、一般診療では症状と検査で診断されることが多いです。
高尿酸血症には、①排泄低下型、②産生過剰型、③混合型があり、尿酸クリアランス検査でタイプを判断し、治療薬を選択します。また併存症(高血圧、糖尿病、脂肪肝、腎機能障害など)の評価も重要です。
治療
痛風発作とその原因である高尿酸血症では、治療が異なります。
●痛風発作(急性期)
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
腎機能や消化器の問題がある場合は、コルヒチンまたはステロイドを使用
●高尿酸血症
・尿酸値の目標は6.0mg/dL未満(結晶を溶かすため)
・尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット)、尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど)
一方、痛風発作を起こしたことがなく、生活習慣病などの合併症がなければ、食事療法、飲酒制限や運動の推奨などの生活指導で経過をみることになります。
また、足の親指のつけ根の違和感に気づいた段階でコルヒチンを服用することで、痛風発作を未然に防ぐことが期待できます。
セルフケア
予防
痛風発作のリスクを高める要因には以下のようなものがあります
・男性・30歳以上
・BMI値が25以上(肥満)
・外食、偏食、食事の不規則
・アルコール摂取
・甘い飲料
・ストレス
・痛風の家族歴
肥満や内臓脂肪増加は尿酸排泄を低下させるため、生活習慣改善が重要です。またアルコールは、プリン体が多く含まれるビールや紹興酒はもちろん、プリン体が少ない日本酒・ワインや焼酎・ウイスキーであっても、アルコール自体が尿酸を増やしてしまうため、プリン体の量にかかわらず飲みすぎは禁物です。食事では、尿酸のもとになるプリン体が多く含まれるレバー、干物、えびなどをとりすぎないように注意しましょう。
監修
医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長
富田益臣