眼瞼けいれん・眼瞼ミオキミア
がんけんけいれん・がんけんみおきみあ

最終編集日:2024/6/10

概要

眼瞼けいれんは、けいれんの程度が強く治りにくい病気で、40~50代に好発します。男女比は1対2.5で、女性に多くみられます。まぶたや目の周辺から口や下顎などの顔面全体にけいれんが広がるものを「メージュ症候群」と呼んでいます。

一方、同じように片方のまぶたが、ぴくぴくとけいれんする眼瞼ミオキミアは、医学的には眼瞼けいれんと区別されています。眼輪筋という筋肉が不随意に収縮することで起こります。比較的よくみられる症状で、多くは数日から数週間で治まっていきます。

原因

●眼瞼けいれん

中枢神経系に原因があって、まぶたのけいれんが現れると考えられています。原因不明のことが多く、一部の抗精神病薬や睡眠導入薬などの関与が指摘されていますが、明らかになっていません。


●眼瞼ミオキミア

疲労、睡眠不足、ストレスなどが誘因とされています。

症状

●眼瞼けいれん

両目のまぶた、眉間にけいれんが起こります。目の周辺の違和感・痛み、羞明(過剰にまぶしく感じる)、目が乾く、目がごろごろするなどを伴い、しだいに、目が開けづらい、目が閉じてしまうなどの症状が現れます。


●眼瞼ミオキミア

通常、片側の上下のまぶたのどちらかに、ぴくぴく動くけいれんが現れます。けいれんは数秒から数分間続いたり、時間や日をおいて繰り返されたりします。通常は数日から数週間で自然に治まります。

検査・診断

問診と視診から、診断がつけられます。眼球に異常がなく、視力障害がないことも確認します。また、瞬目テスト(速いまばたきを続ける、軽くまばたきする、強く目を閉じてから開けるなど)を行って、けいれんを誘発し、状態をみます。眼輪筋などの筋電図検査を行うこともあります。

眼瞼けいれんでは、メージュ症候群との鑑別や、まぶしさや目の乾きが起こるドライアイ眼精疲労、まぶたが下がる眼瞼下垂などとの鑑別が必要です。眼瞼ミオキミアでは、同じように片側にけいれんが起こる片側顔面けいれんとの鑑別が重要です。

治療

●眼瞼けいれん

治療は薬物療法(内服、ボツリヌス療法)と手術から選択されます。

薬物療法は、抗けいれん薬(抗てんかん薬)、抗コリン薬、抗不安薬などを用いてけいれんを改善します。ボツリヌス療法は、眼輪筋にボツリヌスA型毒素という製剤を注射します。ボツリヌスA型毒素のもつ神経伝達物質の阻害効果を利用して、筋肉を麻痺させてけいれんを止める治療です。ボツリヌス療法は効果が3カ月程度しか続かないことがデメリットです。症状が強い場合や、ボツリヌス療法での効果が見込めない場合に手術が考慮されます。眼瞼皮膚切除術、眼輪筋切除術、前頭筋吊上げ術など複数の術式がありますが、術後、症状が再燃することが多く、ボツリヌス療法を併用するケースも少なくありません。そのほか、開眼を保ち、視野を確保するために、眼瞼下垂を矯正する「クラッチ眼鏡」が用いられることもあります。


●眼瞼ミオキミア

十分な休養、睡眠をとることで改善されます。症状が長引く場合には、眼精疲労用の点眼薬や、神経細胞の修復作用があるビタミンB12配合の点眼薬・内服薬が処方されることもあります。

セルフケア

予防

まぶたのけいれんは身近な症状といえるでしょう。

しかし、1カ月以上けいれんが続いたり、まぶしさや目の乾きなど、ほかの症状を伴うような場合は眼科を受診し、心配のいらないけいれんかどうかを診断してもらいましょう。

監修

井上眼科病院院長

井上賢治

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