片側顔面けいれんへんそくがんめんけいれん
最終編集日:2022/1/11
概要
片側顔面けいれんは、顔の一部の筋肉が本人の意思とは関係なくピクピクけいれんする疾患です。顔面の左右どちらかに起こります。通常、片方の目の周囲からピクピクとしたけいれんが始まり、次第に口元や頰など広がっていきます。ごくまれに両側に生じることもあります。
疲労や精神的緊張などで起こりやすく、症状が進行すると顔がつっぱってゆがんだ状態になったり、けいれんの側に筋肉の麻痺が生じたりします。初期には時々だった症状が、進行すると持続的に生じるようになることもあります。
原因
片側顔面けいれんは、血管、腫瘍などにより顔面神経が圧迫されて、異常な神経回路ができてしまい神経興奮がつづくことにより起こると考えられています。はっきりした原因は不明ですが、動脈硬化や精神的なストレス、疲労、緊張などが誘因となり発症する可能性があるといわれています。
症状
初期には、片方の目の周囲や口でピクピクとしたけいれんが生じますが、進行すると頬、あごの筋肉がひきつったり、首筋や耳にまで広がったりすることがあります。まれに顔全体に及ぶ場合もあります。
疲労や緊張、カフェインの摂取などの影響により、起こる頻度が増加することがある一方、仰向けに寝たりアルコールを摂取したりすると症状が軽くなることがあります。
また、最初は緊張したときなどに時々起きるだけだったのが、けいれんの時間が長くなり、日中だけでなく就寝中に生じるようになることもあります。
検査・診断
顔面けいれんの診断は、おもに問診と視診で行います。まれに血管の奇形、動脈瘤、腫瘍などが原因となることもあるため、これらの疾患と区別するために、MRI検査により顔面神経根周辺の状態についても確認し、顔面の筋電図検査を行うこともあります。
初期段階では、チック、疲れ目によるけいれんである眼瞼ミオキミアなどによって、けいれんが起きる場合もあり、区別がつきにくいことがあります。
治療
ほかの疾患がなく、症状が軽度なときは経過観察となります。日常生活での注意点として、喫煙や飲酒は控えたり、睡眠不足やストレスを避けることが大切です。
また、症状に応じて鎮静薬などの内服薬が使われる場合もあります。
経過観察で改善しなかったり、仕事上の都合などですぐに改善を希望するケースでは治療を行います。
治療法には、筋肉の緊張をやわらげる薬を注射するボツリヌス毒素療法がありますが、効果を持続するために3~4カ月に一度注射を打つ必要があります。
セルフケア
病後
手術で神経への血管の圧迫を除いても、すぐにけいれんが治まらないこともあります。1年以上かかることもありますが、ストレスは回復の妨げになりますから、長い目で症状を見守りたいものです。
予防
片側顔面けいれんの誘因と考えられる動脈硬化の予防には、第一に血圧管理が重要です。糖尿病や脂質異常症にならないようバランスのよい食習慣を心がけ、喫煙や飲酒は控えることも大切です。さらに、ウォーキングなどの有酸素運動も生活に取り入れ、ストレスを解消しリラックスできる時間をつくるようにしましょう。
ストレスや睡眠不足、喫煙や飲酒など、症状を悪化させる誘因は避けるようします。
監修
昭和大学医学部脳神経外科 名誉教授
藤本司
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