帯状疱疹後神経痛

たいじょうほうしんごしんけいつう

最終編集日:2023/5/16

概要

水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こる帯状疱疹では、経過に伴って痛み(神経痛)が現れます。皮膚症状が現れる前の「前駆痛」、皮膚症状とともに現れる「急性帯状疱疹痛」、皮膚症状が消失した後の後遺症として残る「帯状疱疹後神経痛」です。

帯状疱疹後神経痛の発症率は約3%で、50歳以上、帯状疱疹が重症などが発症リスクとされています。

原因

帯状疱疹に罹患することが原因です。水痘・帯状疱疹ウイルスは水ぼうそうの原因ウイルスで、水ぼうそうが治癒した後も完全に体内から除去されるわけではなく、神経節に潜んでいます。体力や免疫力が低下したときに再活性化し、神経分布に一致した領域に帯状に現れる疱疹や皮膚の痛み、神経痛などを起こします。

神経痛(神経障害性疼痛)はウイルスが神経を傷つけるために起こりますが、神経痛が残らない人がいるなか、なぜ後遺症として残ることがあるのかは明らかになっていません。

帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹後神経痛

症状

帯状疱疹の皮膚の症状が治癒した後に、疱疹があった部分に痛みが残ります。ピリピリ、ヒリヒリ、ズキズキ、針で刺すような、焼けるような、締め付けるような、と形容される強い疼痛が継続的に、あるいは間欠的につづきます。通常は痛みを感じないはずの軽い接触や圧迫、寒冷などでも疼痛を感じるアロディニアや、皮膚の感覚の鈍化を伴うこともあります。アロディニアが起こると、衣服が触れても痛い、痛くて顔が洗えないなどを訴えます。痛みは軽度なものから、夜眠れないほどの疼痛まで、さまざまです。

帯状疱疹後神経痛にかかった人は1~2カ月で落ち着く場合が多いですが、3カ月以上つづく人は、発症当初から痛みが強い傾向があります。

検査・診断

帯帯状疱疹の罹患・皮膚症状の治癒後であること、痛みが帯状疱疹の皮膚病変部に発症していることを確認します。皮疹が消えてからも疼痛がつづく場合に帯状疱疹後神経痛と診断され、3カ月後で7~25%の人が発症しています。帯状疱疹のほかの後遺症(ラムゼイ・ハント症候群、角膜炎などの目の疾患)を合併していないかの鑑別も重要です。

治療

疼痛に対して、薬物療法、神経ブロックなどの局所療法などが行われます。多くは数カ月で改善されますが、なかには数年から10年以上完治しないようなケースもあります。


●薬物療法

通常の消炎鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDsなど)では効果が見込めません。神経障害性疼痛に用いる疼痛治療薬を服用します。鎮痛作用をもつ抗うつ薬(三環系抗うつ薬、SNRIなど)、抗てんかん薬なども併用します。外用薬にはリドカイン(局所麻酔薬)を含んだクリームを用いることもあります。


●局所療法

おもに、痛む神経の近くに麻酔薬を注入することで痛みを軽減する神経ブロックが行われます。

セルフケア

療養中

●受診の目安

帯状疱疹後神経痛のような神経障害性疼痛は、痛みが長くつづくと、痛みをより感じやすい状態に陥ります。また、痛みで日常の活動性が低下することで、皮膚や神経の痛みを感じ取る細胞が刺激に対して過剰に反応を示すこともわかっています。

このように、痛みは放置すると悪循環に陥る傾向にあるため、帯状疱疹後に痛みが残っていたら、我慢せずにペインクリニックや皮膚科を受診しましょう。

また、帯状疱疹になっても、神経痛にならないことも多く、なぜ帯状疱疹後神経痛になるのかは解明されていませんが、帯状疱疹が生じた際に、72時間以内に抗ウイルス薬の治療を開始すると帯状疱疹後神経痛になりにくいことが知られており、早期の治療開始が大事です。

予防

帯状疱疹にかからないようにすることが帯状疱疹後神経痛の予防になります。

50歳以上を対象に、帯状疱疹ワクチンを接種することができます。発症を完全に防ぐことはできませんが、発症しても重症化を予防できます。基本的に自費になりますが、自治体などによっては補助を行っているところもあります。

帯状疱疹後神経痛の痛みの改善には、以下のことも効果があるとされています。薬物療法などとあわせて実践してみましょう。

●入浴で血行をよくする

●冷えを防ぐ

●アロディニアがあって衣服の刺激がつらい場合は、痛む場所に包帯などを巻いてから衣服を着る

●熱中できる趣味をもって、痛みにとらわれない時間を増やす

●十分な休養と睡眠を確保し、ストレスをためない

監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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