三叉神経痛

さんさしんけいつう

最終編集日:2023/2/3

概要

神経痛とは、末梢神経に由来する疼痛を指します。

三叉神経は眼神経、上顎神経、下顎神経の3本で、顔面の痛みや温冷感、触感などの感覚情報を脳に伝える末梢神経です。脳の脳幹という部分に入る三叉神経根で1本にまとまって、中枢神経となります。三叉神経痛はこの末梢神経が障害されて、顔面や口腔内に痛みが起こります。多くは1本の神経に起こりますが、2本に広がるケースもあります。

原因となる病気がない(MRIなどの検査で明らかな異常が示されない)ものを特発性三叉神経痛、ほかの病気が原因となるものを二次性三叉神経痛と呼びます。

約90%が特発性で、中年以降の女性に好発するとされています。

原因

特発性では、脳幹部で三叉神経が血管に接触することや圧迫されることで痛みが誘発されます。加齢による血管の変化や動脈硬化などが誘因になると考えられています。

二次性では、脳内にできる腫瘍や血管の奇形などが原因で神経が圧迫されます。

症状

顔面や歯、口腔内に発作性の鋭く強い痛みが、数秒から数十秒、発作的に起こります。びりっと電流が走る感じ、針で刺されるような痛み、火箸をあてられる感じ、ズキンと響く痛みなど、痛みはさまざまに表現されます。痛みが現れやすい部位は上顎神経領域(上あご、頬、上口唇など)や下顎神経領域(下あご、下唇、舌など)です。

痛み発作のきっかけとなるのは、洗顔、メイク、ひげそり、食事、歯磨きなどの行為が多く、そのほか、特定の場所を触ると痛む、冷たい風にあたると痛むなどの場合もあります。

痛み発作は数秒から数分程度で治まります。

二次性三叉神経痛の場合には、鋭い痛みに加えて感覚の異常など、ほかの症状を伴うことがふつうです。

検査・診断

問診で三叉神経痛が疑われたら、頬や唇などのトリガーゾーン(軽く触れただけで痛みが起こる部位)への刺激で痛みが起こるかを調べ、MRI検査、MRアンギオグラフィ検査で三叉神経根と脳内の血管の接触の有無をみたり、類似した症状をきたすほかの病気の存在を除外することが大事です。

二次性として、帯状疱疹、三叉神経鞘腫などの腫瘍、副鼻腔炎、サルコイドーシスなどの自己免疫疾患が原因で三叉神経痛が起きている場合もあるため、上記の画像検査とともに血液検査などで鑑別診断を行います。

治療

三叉神経痛の痛みには、通常の消炎鎮痛薬(NSAIDsなど)は効果がありません。カルバマゼピンという抗てんかん薬、あるいはプレガバリンという神経障害性疼痛の鎮痛薬が第一選択になります。いずれも脳内の神経の過剰な興奮を抑制します。

薬物療法で効果がみられない、または副作用で服薬できない場合には、三叉神経ブロック、微小血管神経減圧術などが考慮されます。

神経ブロックは痛みを伝える末梢神経をブロックすることで、痛みが伝わらないようにする治療法です。ブロックの方法として、顔に針を刺して神経節に麻酔薬を注射したり、破壊する方法、高周波で神経節を焼灼(しょうしゃく)する方法、さらにガンマナイフで放射線を狭い範囲に集中させて病変に照射する方法があります。

手術的な治療法(微小血管神経減圧術)では、耳の後ろの頭蓋骨に開けた小さな窓から、手術で三叉神経を圧迫している血管を剥離し、再び圧迫が起こらないよう移動させる治療法です。約90%に治癒が見込めるとされていて、痛みが強く、頻回に発作が起こる、痛みのせいでQOL(生活の質)が損なわれている、薬の副作用が強い、などの場合にすすめられています。

セルフケア

予防

痛みの出現、強さの程度に、高血圧や精神的ストレスが大いに関係し得るので、不安や精神的ストレスの軽減、寝不足や疲労を回避、調整することが大事です。

監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本 司

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