末梢神経障害(ニューロパチー)

まっしょうしんけいしょうがい

最終編集日:2022/1/11

概要

神経には、中枢神経(脳と脊髄)と全身に張り巡らされた末梢神経の2種類があり、末梢神経は、運動神経、感覚神経、自律神経に分けられます。末梢神経障害はニューロパチーとも呼ばれ、これらの末梢神経の働きが悪いために起こる障害です。

症状は障害される神経によって異なり、手足のしびれや筋力の低下などによる歩行困難や、手足が冷たく感じる、便秘や下痢などの症状が現れます。いずれも原因を明らかにして、適切な治療を行うことが大切です。

原因

末梢神経障害の原因はいろいろありますが、もっとも多い要因に糖尿病があります。糖尿病が原因の末梢神経障害は糖尿病性神経障害とも呼ばれ、糖尿病の3大合併症のひとつです。血糖の高い状態つづくことで、おもに末梢の神経が障害されて、手足にしびれなどが起こります。

ほかにも、ギラン・バレー症候群や膠原病などの自己免疫疾患や、神経への持続的な圧迫、ビタミンB1の欠乏、細菌やウイルスへの感染、医薬品によるもの、遺伝、化学物質中毒など、末梢神経障害は実にさまざまな原因により、ひきおこされます。

症状

末梢神経障害の症状は非常にさまざまで、原因や障害された神経の種類にもよりますが、一般的には手足の先でより強く現れる傾向があります。よく知られるものとして、運動神経の障害では、手や足の力が入らない、物をよく落とす、歩行がうまくできない、立ち上がりがうまくできない、などがあります。感覚神経の障害では、からだがビリビリとしびれたり、手足が冷たく感じる、感覚がなくなる、痛みやふらつきなどが起きることがあります。自律神経の障害では、立ちくらみ、下半身に汗が出ない、便秘や下痢、排尿障害などがあります。

検査・診断

末梢神経障害の診断では、まず症状についてくわしい問診の後、一般的には血液検査とともに、末梢神経伝導検査、体性感覚誘発電位、針筋電図といった電気生理学的検査を行います。

また、末梢神経障害の症状は、脊柱管狭窄症や頸椎症・腰椎症、脳梗塞など、中枢神経の障害でも生じることがあるため、中枢神経に近い部位での障害が疑われる場合には、脳や脊髄のMRI検査を用います。また、代表的な原因のひとつである糖尿病による症状でないことを鑑別するために感覚機能検査を行い、さらに遺伝子検査や感覚神経の一部や皮膚をとってきて検査を行う神経生検や皮膚生検などを行うこともあります。

治療

治療には、原因疾患に対する治療と、それぞれの症状を改善するための対症療法があります。

原因に対する治療として、糖尿病性神経障害の場合は、急激に血糖を低下させると有痛性神経障害といわれる痛みが生じることがよくあるため、血糖を徐々に下げるよう、薬などで血糖をコントロールし、同時に食事や運動など生活習慣の改善も行います。

自己免疫性の場合は、免疫グロブリン静脈内投与療法や副腎皮質ステロイド療法など、免疫反応を抑える治療が行われます。

対症療法では、痛みやしびれに対する薬による治療がもっとも多く行われ、血流を改善する薬剤や抗てんかん薬もよく使用されます。

ほかにも症状に応じ、機能訓練や装具療法、電気刺激を利用した物理療法などを行います。

セルフケア

療養中

末梢神経障害を発症し、手足に力が入らないことで歩行障害などが起きた場合、関節の可動域を低下させないためには、機能訓練を行うことがたいへん重要です。症状が悪化しているときでも、筋肉が固まるのを防ぐために、治療と並行してしっかりとリハビリテーションを行うようにしましょう。


監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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