慢性甲状腺炎(橋本病)まんせいこうじょうせんえん・はしもとびょう
最終編集日:2021/12/21
概要
甲状腺で産出される甲状腺ホルモンは、脳、心臓、肝臓、腎臓などの全身の臓器に働きかけ、代謝を盛んにする役割があります。この甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気が慢性甲状腺炎です。本来は細菌やウイルスなどからからだを守るはずの免疫が、自身の細胞、臓器を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつです。2割程度に甲状腺機能低下みられますが、多くは正常範囲です。
この病気を発見した橋本策(はかる)博士の名前から、一般に「橋本病」と呼ばれます。30〜40歳代の女性に多い病気です。
原因
慢性甲状腺炎(橋本病)は自己免疫疾患ですが、なぜ免疫の異常が起こるのかはわかっていません。体質や遺伝的な要素が発症に関与していると考えられています。また、強いストレス、妊娠や出産、海藻類や薬剤・造影剤などからのヨード過剰の摂取なども原因になるといわれています。
症状
甲状腺が慢性的に炎症を起こすため甲状腺に腫れがみられます。頸部に圧迫感や違和感を感じることもあります。
慢性甲状腺炎(橋本病)が進行して甲状腺機能の低下が慢性化すると、代謝の低下が起こり、全身がむくんだり、無気力、疲労感、冷え、体重の増加、便秘、かすれ声などの症状が現れます。女性の場合は月経過多になったり、うつ病や認知症と混同される場合もあります。
検査・診断
触診で頸部の甲状腺の腫れを調べます。腫れやしこりを感じた場合は、超音波検査を行い確認します。血液検査では遊離型甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの数値を測定し、甲状腺機能の状態を調べます。同時に甲状腺に対する抗体である抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺マイクロゾーム抗体を測定し、陽性なら慢性甲状腺炎と診断します。
治療
甲状腺の腫瘤は良性のケースがほとんどなので、腫れがあっても機能が正常な場合は治療を行いません。
甲状腺機能低下症が起きている場合は、甲状腺ホルモン薬による治療を行います。経過観察を行いながらホルモン薬の量を調整します。
この病気は完治するケースが少なく、ほとんどは長期間あるいは生涯にわたる薬の服用が必要になります。ただし足りないホルモンを薬で補充することで、発症前と変わりない生活をつづけることができます。
セルフケア
療養中
薬による治療で甲状腺ホルモンが正常になるまでは、からだに強いストレスがかからないような生活を心がけてください。ヨードを過剰に摂取しないよう、昆布やひじきなどの海藻類は控えるようにしましょう。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三
この傷病に関連したQ&A
腰痛で受診した母が「リウマチ性多発筋痛症」の疑い
男性/40代2024/05/28橋本病と診断された。日常の注意点は?
女性/30代2024/03/29脂質の数値が高めで食事改善をしているが、続かない
女性/40代2022/11/29橋本病の薬物治療を受けても改善しない
女性/30代2022/11/19首のしこり、押しても痛くはないが放置してよい?
女性/40代2022/09/06夜中に脚がつります。病気、あるいは栄養不足?
女性/50代2022/01/28橋本病で太った、やせるお茶を飲んでよいか
女性/50代2022/01/28日本人の食事からのヨウ素(ヨード)摂取量
女性/50代2022/01/28
みんなの
歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談※が利用可能
※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。