腺腫様甲状腺腫せんしゅようこうじょうせんしゅ
最終編集日:2022/4/6
概要
腺腫様甲状腺腫は甲状腺にできる良性腫瘍の一種です。通常は甲状腺に多数の腫瘍がみられますが、1個の場合もあります。腫瘍の内部が石灰化したり、液体が一部含まれていたりするのが特徴です。
腺腫のような腫瘤が複数できて甲状腺が腫れますが、日常生活に支障がない場合がほとんどです。
原因
腺腫様甲状腺腫は、遺伝性のものもあるといわれていますが、多くは原因がはっきりしていない病気です。甲状腺に1個から数個のしこりができますが、形成の過程で痛みを伴わないため、自分では気づきにくく、健康診断などで偶然見つかることが多いといわれています。
症状
甲状腺が腫れることを除いて目立った症状はみられませんが、しこりが大きくなるとまれに声がかすれたりのど周りに違和感を覚えたりすることがあります。ただし、腫瘤が大きくなって腫れが目立つ場合や、腫瘤の一部にがんが含まれていることもあるので、気になる腫れやしこりに気づいたら、一度は専門的な検査を受けることをおすすめします。
検査・診断
触診や甲状腺超音波検査によってしこりの有無を確認します。その後、しこりが良性か悪性かを見きわめるため、腫瘍マーカー検査を行い、がんの種類を判断します。さらに、より確実な診断をするために、甲状腺の細胞を針で採取して顕微鏡で調べる穿刺吸引細胞診が行われます。
治療
腫瘍が良性の場合は1年に1〜2回ほど超音波検査を行い、大きさに変化などがないかを確認します。大きくなる場合は、内服薬での治療を行い、液体が貯留している場合は、針を刺して排液することもあります。首に圧迫症状がある場合やがん細胞が混在しているリスクがある場合は、摘出手術をすすめられることがあります。
セルフケア
療養中
原則的には治療は行わず経過観察を行いますが、しこりが大きくて気になる、首の部分に圧迫があるなどの違和感が強い場合は、手術による摘出を検討します。腺腫様甲状腺腫は良性腫瘍ではあるものの、しこりが大きく成長したものは胸腔内に入ってしまったり、悪性化する恐れもあるため、切除するほうがよいと考えられています。
また良性腫瘍の状態であれば、内視鏡手術による切除が行える病院もあります。内視鏡手術は傷跡が目立ちにくい、傷口への癒着がなく回復も早いというメリットもあるため、手術後の傷あとが気になるようでしたら、医師に相談してみてください。
監修
医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長
富田益臣
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