副甲状腺機能亢進症ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう
最終編集日:2026/3/31
概要
副甲状腺は、甲状腺の背中側にある小さな臓器で、通常は4個あります(人によって数が異なることもあります)。
副甲状腺は「上皮小体」とも呼ばれ、血液中のカルシウムの量を調整する副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌しています。副甲状腺ホルモンは、骨・腎臓・腸に働きかけてカルシウムの吸収や再吸収を調整し、体内のカルシウム濃度を一定に保つ役割を担っています。副甲状腺機能亢進症とは、このホルモンが過剰に分泌される病気です。
副甲状腺そのものに原因がある「原発性」と、ほかの病気が原因で起こる「二次性」に分類されます。なお、長期の二次性副甲状腺機能亢進症が持続した結果として、自律的に副甲状腺ホルモンが分泌される状態は、従来「三次性」と呼ばれていましたが、近年ではおもに「腎移植後遷延性副甲状腺機能亢進症」として扱われます。
原発性は①副甲状腺のひとつが腫れて「腺腫」と呼ばれる状態になるもの(約80%)、②複数が大きくなる「過形成」(約20%)がありますが、腺腫も過形成も良性です。がん化する悪性のものもありますが、1%未満とまれです。
原因
副甲状腺そのものに原因がある、原発性副甲状腺機能亢進症には遺伝が関与するものもあります。家族性の場合には、副甲状腺の複数が大きくなることが多くみられます。しかし、多くのケースでははっきりとした原因は明らかになっていません。
これに対して、ほかの病気によって起こる二次性副甲状腺機能亢進症では、原因疾患としてもっとも多いのが慢性腎臓病(CKD)や腎不全です。特に、人工透析を受けている人に好発します。そのほか、ビタミンD欠乏症やくる病(骨軟化症)、消化器の術後、慢性膵炎などでも起こります。
症状
症状は多彩であり、おもに高カルシウム血症による症状と、臓器障害に分けられます。
高カルシウム血症による症状として、食欲不振、嘔吐、便秘、筋力低下、倦怠感、イライラ、不眠などがみられます。
また、腎臓の石灰化や尿路結石、骨粗鬆症などをきたし、腰背部痛や血尿、骨折しやすいといった症状が現れることがあります。
検査・診断
血液検査と尿検査で、血中と尿中のカルシウム濃度、血中のPTHの値を調べて確定診断します。
どの副甲状腺に異常があるかを、超音波(エコー)検査、アイソトープ検査(99mTc-MIBIシンチグラフィ)で精査します。そのほか、頸部CT、縦隔CT、MRI検査などを行うこともあります。また、慢性腎臓病による二次性副甲状腺機能亢進症では高リン血症を示すため、血中のリンの値も検査します。
治療
●原発性副甲状腺機能亢進症
病的な副甲状腺を摘出する副甲状腺摘出術(PTx)が第一選択となります。手術困難な場合には、内科的な治療が行われます。
症状がない場合でも、血清カルシウム値が基準値(8.4~10.2mg/dL)よりも1mg/dL以上高い、尿中カルシウム排泄が400mg/日以上、推算糸球体ろ過量(eGFR)が60未満などであれば、PTxがすすめられます。
薬物治療(薬による治療)では、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制するカルシミメティクス(カルシウム感知受容体作動薬)を用いる方法もあり、血清カルシウム値のコントロールには有効ですが、根治療法ではありません。そのため、手術が可能な場合には手術が推奨されます。なお、骨量の減少に対する対症療法として、ビスホスホネート製剤などの骨吸収抑制薬を併用することもあります。
●二次性副甲状腺機能亢進症
原因疾患の治療と並行して、高カルシウム血症や高リン血症の治療が行われます。慢性腎臓病や腎不全の場合には「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」に基づき、ビタミンD製剤や、シナカルセトなどのカルシウム感知受容体作動薬が投与されます。薬剤療法の効果がみられない、あるいは副作用のために服用を続けられない場合には、PTxが検討されます。
複数の副甲状腺が大きくなる過形成で、副甲状腺の位置を特定できないことがあり、検査で異常のある副甲状腺をすべて見つけ出せない場合があります。またPTx後に、別の場所の副甲状腺が腫れて再発することもあります。このような場合には、再手術が必要になることもあります。
監修
医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長
富田益臣