痔核(いぼ痔)じかく・いぼじ
最終編集日:2022/4/5
概要
痔核とは、いわゆる「いぼ痔」のことです。痔核は、肛門周辺の静脈がうっ血して肛門の内側にいぼのような腫れが生じる内痔核と、肛門の歯状線(直腸と肛門の境目)よりも外側にできる外痔核に分けられます。
性別に関係なく、痔のなかでもっとも発症数が多いのが痔核です。
原因
痔核は、排便時のいきみ、便秘や下痢によって肛門に負担がかかることが原因で発症します。
●内痔核
便秘で排便時のいきみが強い、下痢が長くつづいている、トイレの時間が長い、立ったままや座ったままなど長時間同じ姿勢をとっているなどのほか、妊娠や出産なども原因となります。
●外痔核
便秘や下痢、アルコールや辛いものなど刺激物の過剰摂取、長時間同じ姿勢で座っていることが多い、冷えやすい、ストレスが多いなどが原因です。
症状
内痔核と外痔核、つまりいぼができた場所によって症状が違います。
●内痔核
残便感や不快感はありますが、痛みはほとんどなく、排便時にぽたぽたと鮮血が出血します。排便時に痔核が肛門から外に脱出しますが、排便が終わるとなかに戻ります。ただし進行すると、脱出した痔核は指で押さなければ中に戻らなくなり、最終的には脱出したままで痛みも強くなります。
●外痔核
肛門の周りにいぼ状の突起ができ、その大きさはさまざまです。痔核ができるときに激しい痛みを感じますが出血は少ないのが特徴です。大きく腫れると痛くて座ることができなくなるため、日常生活に支障が出ます。
検査・診断
問診で症状を確認し、診察では肛門を触診・視診して診断がつきます。
外痔核の場合、外側にいぼ状の突起が出ているのでわかりやすいのですが、内痔核の場合は、症状がよく似ている別の病気もあるため、肛門鏡や直腸鏡を使って慎重に観察します。必要に応じて下部消化管内視鏡検査や注腸造影検査を行うことがあります。
治療
まずは排便習慣を整えるための生活指導が行われます。食事のアドバイスに加え、便秘にならないように便秘薬などを使用します。
肛門から注入する座薬や軟膏などを使って経過を観察します。
これらの治療を行っても症状が改善しない場合には、手術による治療を検討します。痔核の手術には、結紮切除術、痔核を挙上固定するPPH法、輪ゴム結紮法などがあります。最近では痔核に硬化剤を注入して改善を図る方法もとられています。
セルフケア
予防
痔核にならないためには、便通習慣を整え、肛門に負担をかけない生活をすることが大切です。
バランスのとれた食事を心がけ、規則正しい生活を送るようにしましょう。暴飲暴食や無理なダイエットは、便秘や下痢をひき起こし、睡眠不足やストレスも便通習慣が乱れる原因となります。
また、肛門周辺の静脈がうっ血しないように、長距離運転やデスクワークで長時間座りつづけることなども避けましょう。
痔核ができ、強い痛みがある場合は、入浴や座浴でおしりを温めると血行がよくなり、痛みなどの症状がやわらぎます。症状が落ち着いたらまず市販薬の軟膏を塗って様子をみましょう。症状が改善されない場合は、専門医の診断を受けることをおすすめします。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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