肛門周囲膿瘍こうもんしゅういのうよう
最終編集日:2022/4/5
概要
肛門周囲が化膿してうみがたまり、赤く腫れ上がる病気が肛門周囲膿瘍です。
肛門内部の小さなくぼみにある肛門腺に細菌が入り込み、炎症を起こすことで発症します。多くの場合、下痢がつづいた後に症状が出て、よくなったり悪くなったりをくり返します。
悪化すると肛門周辺の化膿している部分が激しく痛み出します。化膿している部分を切開し、うみを外に出さないと治りません。肛門周囲膿瘍が悪化すると痔瘻(じろう)になります。
原因
肛門周囲膿瘍は、肛門内部の小さなくぼみにある肛門腺に、細菌が便と一緒入り込み、炎症を起こすことで発症します。正常な便が肛門腺に入ることはありませんが、下痢などの軟便は入りやすくなるため、下痢の症状があれば注意が必要です。
便秘などによって肛門腺近くに傷ができると、そこから細菌が入りこみ感染することもあります。
肛門周囲膿瘍は赤ちゃんにもみられ、おむつかぶれが原因となることもあります。
まれに細菌感染のほか、クローン病など原因となり肛門周囲膿瘍が現れることがあります。
症状
初期症状は、かゆみと軽い痛みです。症状が進んでいくうちに肛門の周囲が化膿してうみがたまり、熱をもって赤く腫れあがります。たまったうみがしこりのようになり、ズキズキと痛みだすことがあります。
細菌感染により、39℃以上の発熱や全身の倦怠感が現れる場合があります。痛みが強いときには、横になって患部を保冷剤などで冷やすと痛みが軽くなります。温めると痛みが増すことがあるので注意してください。
検査・診断
問診で症状を聞きとり、視診・触診で肛門の状態を確かめます。
触診では、肛門から直腸に指を入れてうみがたまっている位置などを確認しますが、化膿している場所や大きさによっては判断がつきにくいことがあります。必要に応じて超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像検査を行います。
治療
症状が軽い初期であれば、抗生剤を使った治療で経過をみます。
通常は、手術で赤く腫れあがっている場所を切開し、なかにたまったうみを出します。
再発することもあるため、手術後も外来に通院しながら経過観察を行います。
セルフケア
予防
肛門周囲膿瘍は下痢のときに発症しやすいため、栄養バランスを心がけ、アルコールや冷たいものをとりすぎないようにして下痢に注意しましょう。入浴はシャワーですますより、湯船につかってからだを温めることが下痢の予防につながります。
また、便秘は肛門周辺に傷がつき、そこから細菌が入り込んでしまうケースがあるため注意が必要です。便意を感じたら我慢しないでトイレに行くなど、排便習慣を整えましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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