裂肛(切れ痔)
れっこう・きれじ

最終編集日:2022/4/5

概要

裂肛とはいわゆる「切れ痔」のことです。便秘や下痢などの排便異常が原因で、肛門が切れてしまう病気です。男性よりも女性に多い傾向にあります。

強い痛みが長時間つづきますが、出血は多くありません。肛門の傷はほとんどが自然に治りますが、慢性化すると潰瘍や肛門ポリープなどの合併症を併発します。

肛門が狭くなって排便困難となり、手術が必要になる場合もあります。

原因

裂肛のおもな原因は、便秘と下痢です。硬い便を無理に出そうとして切れるだけでなく、慢性的な下痢で肛門に炎症が起き、切れてしまうことがあります。

裂肛は女性に多いといわれますが、これは便秘症の人が多いこととが原因で、ダイエットなどで食事を制限することが関係していると考えられます。無理に食事量を減らすと便のかさが増えず腸が刺激されないために、便秘になりやすくなります。

出産がきっかけで肛門が切れてしまうこともあります。

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症状

排便時に激しい痛みと出血がみられます。出血はそれほど多くなく、トイレットペーパーに付く程度です。

便秘で硬い便を排泄するときに肛門が切れてしまうわけですが、その痛みは強く、長時間つづきます。一度切れてしまうと排便の度に傷が痛み、出血します。この状態をくり返すと、傷は深くなって炎症が起き、潰瘍やポリープができてしまうこともあります。

検査・診断

問診での症状の聞きとりと、肛門の触診・視診で診断します。

また、裂肛は肛門潰瘍や肛門ポリープなどの合併症を併発していることがあり、肛門がんや大腸がん、大腸ポリープなどが原因で出血していることもあるため、必要に応じて内視鏡検査や注腸検査などを行います。

治療

初期治療では、排便習慣を整えるための生活指導が行われます。食事のアドバイスに加え、整腸剤や軟下剤などの薬を使用することもあります。

また、切れてしまった肛門には痛みをやわらげる座薬や軟膏などが使われます。

このような保存的治療をしても効果がない場合や、慢性化してしまった場合には、肛門を締める働きをする内括約筋を切開する手術などを行います。

セルフケア

予防

肛門を傷つけないためには、便通を整え、排便時に肛門に負担がかからないように、バランスのとれた食事と、規則正しい生活を心がけましょう。暴飲暴食、無理なダイエットは便秘と下痢をひき起こし睡眠不足やストレスも便通習慣が乱れる原因になります。

肛門が切れたからといって、あわてて病院に行く必要はありません。少し切れてしまった程度なら、肛門を清潔にしてから市販薬を使って様子をみましょう。傷口が痛くても、肛門は清潔にすることが大切です。

症状が改善しない場合には、重症化する前に医療機関を受診し、専門医に診てもらいましょう。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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